目次
- 株式会社サワエについて
- 業績好調の理由
- 「経営会議」開催の経緯
- はじめは内容を理解できなかった
- 落合会計事務所の強み
- 中小企業経営者の方々へのアドバイス
(落合)みなさん、こんにちは。落合会計事務所 所長の、落合 孝裕(おちあい たかひろ)です。
今日は、私たちのクライアント会社の一つ、株式会社サワエさんにおじゃましました。サワエさんは、横浜市港北区で、電子部品の搬送用資材を製造している会社です。落合会計事務所とは、もう10年以上のお付き合いになります。塩谷君は、うちの3代目の担当です。
サワエさんは、この不況下でも業績を伸ばし続けている、とても活気のある会社です。
嬉しいことにサワエさんは、「うちの業績が好調なのは、落合会計事務所に毎月実施してもらっている『経営会議』のおかげ」とおっしゃってくれています。今日は、そのあたりのお話を詳しくうかがいたいと思います。
インタビューに応じてくださるのは、株式会社サワエ 専務取締役の澤江 隆一(さわえ りゅういち)さんと、常務取締役の田辺 博之(たなべ ひろゆき)さんです。
そして、インタビューしてくれるのは、ライターの佐々木さんです。
それでは佐々木さん、よろしくお願いします。
株式会社サワエについて
はい。それでは最初に、お二人の自己紹介をお願いします。
(澤江専務)こんにちは。株式会社サワエ 専務取締役の、澤江 隆一(さわえ りゅういち)です。
(田辺常務)同じく常務取締役の、田辺 博之(たなべ ひろゆき)です。
株式会社サワエは、どのような会社ですか。
(澤江専務)株式会社サワエは、「キャリアテープ」と呼ばれる、電子部品の搬送用資材を主に製造している会社です。本社も工場も、横浜市港北区綱島東にあります。従業員は約30名。年商は約2億5千万。設立は昭和44年(1969年)です。
(田辺常務)当社はもともとキャリアテープの金型工場で、発注元は、ほぼ、親会社のキャリアテープメーカー1社だけでした。金型作りだけでなく、自社製金型を使ってのキャリアテープ製造にまで手を広げたのは、7年前のことです。
キャリアテープは、受注から納品までのスピードが特に求められる製品です。電子部品メーカーは、新しい電子部品の製造を開始するたびに、その部品の形状に合った搬送用キャリアテープを調達します。
キャリアテープの例
電子部品の形状は、製造開始直前まで変更され続けるので、搬送用キャリアテープの形状も、部品の製造が開始される直前まで決定できません。部品の形状が決まり、製造が開始されたら、部品の納期に間に合うように、ただちにキャリアテープを調達する必要があります。
一般的なキャリアテープメーカーは、金型作りを外注しています。これに対して当社は、金型作りを自社で行っています。このため、複雑な形状のキャリアテープを、他社よりも短い納期で納品できます。この強みが多くの電子部品メーカーさんに支持され、キャリアテープ製造に参入してからは、右肩上がりで売上を伸ばしてきました。金型工場時代は4人だった従業員も、毎年のように増やしてきました。
業績好調の理由
「当社の業績が好調な理由の80%以
上は、落合会計事務所に実施して
いただいている『経営会議』にある
と思っています」(澤江専務)
株式会社サワエでは、落合会計事務所をどのように利用していますか。
(澤江専務)当社は平成12年(2000年)から落合会計事務所と顧問契約を結び、毎月の試算書の作成、年度ごとの決算書の作成、税務申告などを行っていただいています。また、機会あるごとに、経営全般に関するアドバイスをいただいています。
さらに平成16年(2004年)からは、月1回、「経営会議」というものを実施していただいています。当社の業績が好調な理由の80%以上は、この「経営会議」にあると思っています。
なぜ、「経営会議」が業績好調の理由と言えるのですか。
(澤江専務)これまで当社の業績向上に効果があった施策の多くが、この「経営会議」での分析と討論から生まれているからです。
ここで落合先生に質問です。「経営会議」とはどのようなものですか。
(落合)はい。「経営会議」は、私と担当の者が訪問し、クライアント会社さんの財務諸表の各項目について、年度ごと・月ごとの予算と実績を確認しながら、課題と解決策を話し合う会議です。
サワエさんの「経営会議」には、現在社長、専務、常務、経理、営業、営業兼品質管理、工場長の7名の方が参加されています。
サワエさんの「経営会議」では、まず落合会計事務所から
- 前月の試算表に基づく財務概況
- 売上上位10社を中心にした、取引先別の売上推移
を報告します。「経営会議」で設定した1年間さらに毎月に振り分けた予算がありますので、その達成状況も報告されます。
前月のデータについて報告と説明をさせていただいた後は、参加者全員での討論に入ります。
サワエさんのすばらしいところは、「経営会議」に参加する方々全員が、私たちの報告や説明に対して、積極的に意見や質問を出してくれることです。会計上の数値を、「自分たちが抱える具体的な問題」に引き寄せて理解してくださってるんですね。
また、参加されるみなさんが、それぞれ討論の基礎になるデータを用意して「経営会議」に臨まれているのも、すばらしいことです。たとえば品質管理担当の方は、7台あるプレス機それぞれの稼働時間、売上高、使用材料量を、日ごと、週ごと、月ごとに集計し、目標と実績を比較したデータを用意して「経営会議」に臨まれています。
こうした細かいデータを、営業や製造や経理を担当されるみなさんが絶えず記録し、「経営会議」に持ち込まれているので、私たちからの報告で何か財務諸表上の課題が明らかになった時に、具体的に何が問題で、どう改善すればいいのかを、数字を含めながら話し合えるんです。
なぜ「経営会議」で業績が上がるのでしょうか。
(澤江専務)ひとことで言えば、「士気が上がるから」です。
(田辺常務)同感です。
「士気」ですか。
(澤江専務)はい。「数字の意味」がわかるようになれば、数字は言葉より、はるかに士気を高めてくれます。
(田辺常務)落合会計事務所の先生方は、単に数字だけを報告されるのではなく、必ず、「その数字がどのような意味を持つのか」まで踏み込んだ説明をしていただけます。また、落合会計事務所から提出される資料には、表だけでなく各種のグラフも掲載されていますので、「数字が持つ意味」を、視覚的にも確認できます。
(澤江専務)当社でも、営業、製造、経理の現場で、様々なデータを取り続けています。ただ、いくら細かいデータを集めても、それだけでは行動には結び付きません。細かいデータだけでは、取り組むべき問題の優先順位がわからないからです。
落合会計事務所がくれる財務データは、取り組むべき問題の優先順位と、達成すべき目標を明らかにしてくれます。「経営会議」のおかげで、会社全体の売上、コスト、利益の年次・月次目標とその達成状況が、幹部全員に常に共有されています。だからこそ、社内で作成している細かいデータのそれぞれについて、「今何をどの程度改善すればいいのか」が、全員にハッキリわかるんです。
(田辺常務)全員が納得・合意して行動すれば、問題の解決も早まります。行動して問題が解決されれば、財務上の目標達成率も向上したことを、次の「経営会議」で確認できます。それがまた、次の行動のモチベーションにつながるんです。
財務諸表の項目ごとの目標達成状況やその推移を数字で追えるので、問題の発見自体が早くなります。問題の発見が早くなれば、解決もそれだけ早くなります。
「経営会議」開催の経緯
株式会社サワエで「経営会議」を実施するようになった経緯を教えてください。
(澤江専務)「経営会議」は、落合会計事務所からの提案で、平成16年(2004年)に始まったものです。その年はちょうど、当社が金型製作の下請工場を脱して、金型からキャリアテープまでの一貫生産に乗り出した年でした。
再び落合先生に質問です。落合会計事務所では、なぜ株式会社サワエに「経営会議」の開催を提案したのですか。
(落合)はい。当事務所がサワエさんに「経営会議」の開催を提案したのは、サワエさんがほぼ親会社1社だけから受注する業態から、多数の会社と取引にする業態に転換するのを機に、「予算管理」に取り組んでほしかったからです。
「予算管理」というのは、あらかじめその年の売上目標と利益目標を決め、そこから月ごと、売上項目ごと、費用項目ごとに目標数値を割り振っていき、目標達成率を毎月確認しながら次の行動を決めていく手法です。
受注先が1社だけの業態の場合は、「予算管理」を実施しなくても、取り組むべき課題の選択に、それほど迷わずに済みます。しかし、多数の会社を相手にする業態の場合は、売上項目ごと・費用項目ごとにあらかじめ目標を設定し、絶えず目標と実績の差をチェックしておかなければ、「今何に取り組まなければならないのか」が、経営者にも判断できなくなります。
また、サワエさんの社員が増え始めていたことも、「経営会議」の開催を提案した理由の1つでした。「会社の財務に今どのような課題があり、その課題を解決するために、どんな行動が必要なのか」という情報は、本来、会社の幹部全員が共有しているべき情報です。しかし、このような大切な情報を把握しているのが、社長1人という会社も珍しくありません。「経営会議」には、「会社の財務上の課題を、社長を含む幹部全員が共有する場」としての意義もあります。
「経営会議」は、落合会計事務所のクライアントになれば開催してもらえるのですか。
「経営会議」の開催は、通常の顧問契約とは別のオプションになっています。ただ、クライアント様の社内で、「経営会議」と同じ内容の会議をしていただくために必要なデータは、クライアント様に提供することができます。通常の顧問契約のみのクライアント様でも、自社でサワエさんのような「予算管理」に基づく経営を行っていただくことは可能です。
はじめは内容を理解できなかった
「最初のうちは先生方のお話を
ただ『はい、はい』と聞いているだけ
の状態でした」(田辺常務)
お二人は、いつ頃から「経営会議」に参加しているのですか。
(澤江専務)私たち二人とも、平成16年(2004年)の1回目の「経営会議」から、ずっと参加し続けています。
はじめて「経営会議」に参加したときの印象を教えてください。
(澤江専務)正直言いまして最初の頃は、先生方のおっしゃっていることが、よく理解できませんでした。それまで私は、製造と営業だけをやってきて、財務のことには一切タッチしてませんでしたから。
(田辺常務)私もです。先生方のお話を、ただ「はい、はい」と聞いているだけの状態でした。
(澤江専務)ただ私たちが何か質問すると、落合会計事務所の先生方は、必ず私たちがわかるまで丁寧に教えてくれました。単に「この数字をよくしましょう」と言うのではなく、「たとえばこういうことを改善すれば、この数字がよくなりますよ」という感じで、いつも具体的な提案をしてくれました。おかげで回数を重ねるごとに、先生方が持ってくる数字の意味が理解できるようになりました。
(田辺常務)数字の意味がわかってくるにつれ、私たちも先生方に、会社の課題をより的確に伝えられるようになりました。私たちが会社の課題を的確に伝えられるようになると、先生方も、さらに具体的な提案をしてくれるようになりました。
落合会計事務所の強み
お二人から見て、落合会計事務所の強みは何ですか。
(澤江専務)まず、私たちの行動につながるデータをくれるところです。たとえば売上のデータにしても、落合会計事務所は、主な取引先ごとに、過去3年の月ごとの推移がわかる折れ線グラフを提供してくれます。過去3年の売上の推移をグラフで見ると、今後の受注の推移を予想できたり、毎年受注が減る月がわかったりします。各取引先について今後の受注推移を予想できれば、重点的に営業すべき取引先も絞り込めます。毎年特定の月に受注が減ることがわかれば、その原因を調べ、対策を取ることもできます。
(田辺常務)それから、親身になってアドバイスしてくれるところです。たとえば、特定の取引先の支払サイトが長いことが、資金繰り悪化の原因であることがわかった時、落合会計事務所は、「この取引先の支払いサイトを短くしてもらってください」と言うだけでなく、どんな交渉の仕方をすればいいのか、どんな文章を用意すればいいのか、といったことまでアドバイスしてくれました。いただいたアドバイスに従って交渉したところ、実際に支払いサイトを短縮してもらうことができ、資金繰りを改善することができました。
(澤江専務)あとは、対応が速いです。落合会計事務所に何か相談の電話を掛けると、たいてい、その場ですぐアドバイスをいただけます。すぐ回答をいただけない時は、いつまでに回答をもらえるかお約束いただいたうえで、お約束どおりに回答をいただけます。すごくフットワークのいい会計事務所だと感じます。
中小企業経営者の方々へのアドバイス
最後に、中小企業の経営者の方々に、何かアドバイスがあればお願いします。
(澤江専務)アドバイスというほどのものはないのですが、この6年間を通じて、「予算管理」を実直にやり続けることの効果を実感しています。まだ「予算管理」を導入されていない中小企業の方は、ぜひよい会計事務所の指導を受けながら、導入することをお勧めします。
(田辺常務)私たちは、財務についてはまったくの素人でしたが、落合会計事務所の先生方からアドバイスをいただいているうちに、毎日の仕事や判断に、財務の数字を活かせるようになってきました。財務について、素人にもわかりやすく教えてくれる会計事務所を選ぶことが、大事だと思います。
末永くおつきあいしていきましょう!
落合所長より
澤江専務、田辺常務、本日はお忙しい中貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
サワエさんは、当事務所が「経営会議」のサービスを提供した、最初のクライアント会社の1つです。
当事務所が「経営会議」のサービスを提供し始めたきっかけは、私自身が当事務所の「予算管理」を実施し、成果を上げたことでした。自分の事務所の経営で効果を実感した「予算管理」を、いくつかのクライアント会社にも指導し、成果を上げることができたのですが、中でも最も大きな成果を上げることができたのがサワエさんでした。
サワエのみなさんは、私たちが提供するデータに非常に熱心に反応していただけるので、私たちもやりがいをもってサポートさせていただくことができます。
株式会社サワエのみなさま、今後も落合会計事務所では、所員一同、御社の経営を誠心誠意サポートさせていただきます。これからもよろしくお願いいたします。