二次相続、二世帯住宅と隣地購入の相続税対策(2014年8月28日)
2014年8月28日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン vol.197 2014年08月28日配信●
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・ご挨拶………………………………過ごしやすくなりました
・特集…………………………………相続税対策でこんな相談が増えています
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメールマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。
天気予報どおり、月曜日から過ごしやすくなりました。
夜も寝苦しくなくなり、体もちょっと楽になりました。
最近は夏が長く、秋が短く、すぐに冬になる、
季節の移り変わり最近はこんな感じです。
今年は秋がもう少し長いといいなあ。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○
さて、今回は「二次相続、二世帯住宅と隣地購入の相続税対策」です。
相続で最初の親の相続を「一次相続」
次の親の相続を「二次相続」といいます。
一般的には、父親 → 母親の順が多いですね。
「一次相続」では、次の2つの特例を使えば、
相続税の負担があまりかかりません。
(1)小規模宅地の特例
(2)配偶者の税額軽減
(1)は、マイホームの敷地については、
240m2(平成27年からは330m2)までは、
配偶者が引き継げば無条件で80%減額できる、
(2)は、配偶者が引き継いだ財産のうち、
1/2または1億6千万円までは相続税がかからない、
という特例です。
「二次相続」になると、それぞれ適用がむずかしくなります。
(1)については、親が一人暮らしの状態で、
子どもが持ち家となると、適用がまったくできません。
(2)については、
そもそも配偶者がいないので、適用の余地はありません。
来年からの相続税の増税をにらんで、
二次相続の対策のご相談が増えています。
次のようなご相談を受けました。
(守秘義務があるので前提条件は変えてあります)
○二世帯住宅で母親が1階に居住、長男家族が2階に居住
○隣地(50坪)の購入を考えている
○相続人は長男1人
二世帯住宅は、外階段で区分登記をされており、
1階は母親名義、2階は長男名義です。
お互いに生計は別となっています。
また、隣地の土地の面積は約50坪です。
隣地では相続が半年前に発生しており、
息子さんより買ってくれないかと話があり、
相場より安い100万円/坪の提示を受けています。
「母親の相続では小規模宅地の特例は適用できますか?」
「隣地の購入は、母親がおこなうことでよいですか?」
という2つの質問を受けました。
母親の所有資産(相続税評価額)は次のとおりです。
○自宅敷地50坪・・・6,500万円
○自宅建物・・・・・・・・200万円
○上場株式・預貯金・・8,000万円
○その他・・・・・・・・・300万円
財産の合計で、1億5,000万円です。
相続人は長男1人だけです。
小規模宅地の特例が使えない前提で計算すると、
相続税の総額は、2,860万円になります。
小規模宅地の特例ですが、
二世帯住宅については平成26年から改正があり、
外階段のタイプも適用の対象となりました。
平成25年までは内階段のものしか、
適用ができませんでしたので、
改正により適用範囲が広がりました。
ただし、区分登記の二世帯住宅については、
原則として以前と取扱いは変わりませんが、
二次相続で改正前よりかえって不利になるケースがあります。
今ケースはその不利になるケースです。
母親とは「生計が別」となっています。
「生計が別」とはおおざっぱにいうと、
収入が別で生活も別、ということです。
もう一度前提条件をおさらいするとこうなります。
○父親は以前に死亡
○マイホームの敷地は母親名義
○建物の1階は母親名義
○建物の2階は長男名義
○お互いに生計は別
このケースで、将来母親に相続が発生した場合、
小規模宅地の特例が適用できるどうかです。
平成25年までは、長男が引き継げば、
小規模宅地の特例の適用が可能となっていました。
それが、平成26年からは、長男が引き継いだ場合、
小規模宅地の特例の適用ができなくなりました。
では、適用するためにどうしたらよいでしょうか?
2つ方法があります。
1つ目は、母親と「生計を一」にすることです。
「生計を一」とは、次のような状態を言います。
(「所得税基本通達2-47」に定められています)、
○日常の起居を共にしていること
○勤務、療養等の都合上日常の起居を共にしなくても
→余暇には、起居を共にしている
→生活費、療養費などの送金がおこなわれている
○同居している場合は無条件で「生計を一」
一番簡単な方法は、
1階の母親を2階に移って生活してもらうことですが、
現実にはむずかしいと思います。
事前の策としては、
土日は一緒に生活をする、療養費などを負担する、
などで対応することが必要です。
さらに、毎年の確定申告で母親を扶養親族として申告する、
これもおこなうほうがよいでしょう。
ただし、実際は母親に年金や不動産などの所得があり、
お互いに所得が十分あるケースでは、
同居でない限り「生計を一」はむずかしいでしょう。
そこで、2つ目の対策として、
建物の1階の母親名義を、長男に移すことが考えられます。
これは贈与でおこなうのが資金負担が少なくすみます。
200万円の評価額なので、贈与税は9万円になります。
そのままでは区分登記の状態なので、
さらに、区分登記から通常の登記へ変更することが必要です。
これは土地家屋調査士に依頼することになります。
ただし、住宅ローンが残っていると名義変更がむずかしいことがあります。
さらに、贈与税のほかに、登録免許税や不動産取得税がかかるので、
事前に費用負担を見積もっておく必要もあります。
さて、当初の質問の2つ目に戻ります。
隣地の土地(50坪)の購入については、
母親の名義での購入が有効です。
平成27年の相続より、
小規模宅地の特例でマイホームの敷地については、
100坪(330m2)までが80%減となります。
現状の240m2より面積が広がります。
よって、母親名義で購入する隣地は、
自宅の庭として使えば、
現状のマイホームの敷地50坪と合わせて、
100坪までが80%減とすることができます。
以上の対策をした後の母親の所有資産は、次のとおりです。
○自宅敷地100坪・・1億3,000万円
小規模宅地の特例・△1億0,400万円
○自宅建物・・・・・・・・・・200万円
○上場株式・預貯金・・・・3,000万円
○その他・・・・・・・・・・・300万円
財産の合計は、
現状の1億5,000万円から、
対策後に6,100万円となります。
支払う相続税は、
現状の2,860万円から、
対策後に約1/10の325万円になります。
このように相続税の対策は、
現状の資産の名義を整理したり、
新たな資産の活用に気をつけたりするだけで、
納税額が驚くほど変わることがあります。
ぜひご参考にしてください。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o
最近、税務調査の立ち会いがありました。
全国平均よりはるかに割合は少ないのですが、
この時期は入ることがあります。
「お忙しそうですね」
「ええ、今が忙しい時期なんです(笑)」
それぞれの仕事でかき入れ時はありますが、
かき入れ時には当たりたくないものの一つですね(笑)
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