契約書がない相続税の債務控除(2013年10月22日)
2013年10月22日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン vol.155 2013年10月22日配信●
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・ご挨拶………………………………今週末はまた台風が近づきます
・特集…………………………………相続税でこれは引けるので節税になります
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメールマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。
今週末は、また台風が本州に近づきます。
台風27号につづき、28号まで発生しています。
今年は海水の温度が高いため、
台風の発生が例年より多く、勢力も強くなるとのこと。
先週のような強風が予想されますので、十分注意していきましょう。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○
さて、今回は「契約書がない相続税の債務控除」です。
相続税の計算では、財産から差し引けるものとして、
「債務」と「葬式費用」があります。
債務とは、
○借入金
○未払金、など
亡くなった後で、相続人が支払う義務があるものです。
債務については【確実】と認められるものに限ります。
よって、保証債務は債務として認められません。
生前に他人の保証人を何億円していても、
相続税では何ら面倒をみてくれないということです。
税務調査でよく指摘されるのが、親族からの借入金です。
実際に借りていれば、債務として財産から控除できますが、
親族がゆえに本当に借りていたのか、厳しく指摘されます。
実際、私が立ち会った税務調査の事例については、
以前のメールマガジンで紹介しています。
http://www.ochiaikaikei.com/mlmg/201210301145_611.html
そのときは金銭消費貸借契約書(=借用書)があったため、
それが決め手になりました。
では、契約書がない場合はどうでしょうか?
これについて、国税不服審判所の最近の採決例があります。
(平成25年3月4日採決)
概要は、次のとおりです。
○父親が理事長をしていた病院の経営が苦しくなり、
役員報酬と父親への家賃を引き下げた。
○平成10年2月に子どもたちが父親の口座に振り込み、
その口座から同年3月に銀行の借入金の返済をした。
○返済額は、合計で1億3,707万円、
○その後、父親は平成20年3月に死亡
税務署が借入金を否認した理由は、以下の通りです。
○金銭消費貸借契約書(=借用書)がない
○返済方法、返済期限、利息の取り決めがない
○10年にわたり返済の事実がない
○確定申告時の提出された「財産及び債務の明細書」に記載がない
契約書や取り決めがないので、
そもそもこの借入金については、
【確実】とは認められない、という税務署の主張です。
国税不服審判所では、次のような理由で、
借入金について【確実】と判断しました。
○資金移動が口座振替により明確にされている
○相続時に財産から清算されるものである
また、借入金ではなく子どもからの贈与であると
税務署が主張した点については、
○父親から生前に相続対策で贈与を受けている、
○逆に子どもから父親に贈与したとは考えづらい、
としりぞけました。
重要なポイントの一つは、
子どもたちから父親へのお金の引渡しを、
振り込みでおこなっていることです。
資金移動が明確になっています。
これが、
手元現金を父親の口座に入金したり、
子どもたちの口座から直接銀行に返済していると、
資金移動が明確とはいえません。
また、審判所は契約書がない点について、
「贈与であった可能性を否定できないことはない」
と若干の疑問を述べています。
もちろん、契約書はあったほうがいいわけです。
結論としては、
たとえ契約書がなく、さらに返済がなくてても、
資金の移動が明確であれば、
親族からの借入金は相続財産から控除できる、ということです。
また、今ケースのように銀行からの借入金がない場合でも、
亡くなる直前に、
○生活費
○入院費用、など
親にかかる費用について、
子どもが建て替えることはよくあります。
親が財産をたくさん持っていても、
不動産が中心で手元のお金が少なかったり、
親の口座から引き出しができなかったりすると、
子どもがお金を立て替えざるを得ません。
親がキャッシュカードを持っていないと、
本人でないと引出しができませんから、
そもそも親の口座に振り込んでも意味はありません。
子どもが自分の手持ち資金から立て替えることになります。
先の採決例のように、振り込みでお金を移動できませんが、
その支払った状況を説明できるようにしておけば大丈夫です。
実際に使った生活費・入院費用の領収証やレシートのコピー、
さらにその一覧表を作成して、相続税の申告書に添付します。
このやり方で税務署から指摘されたことは、
これまでに一度もありません。
このように「債務」については、
【確実】であることが説明できれば、
相続財産から引くことはまったく問題ありません。
○○さんも、将来の親御さんの相続では、
ぜひ参考にしてください。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o
ちょっと長い編集後記になりますが、
「有利不利」について考えさせられるニュースがありました。。。
サッカーのワールドカップ、ヨーロッパ予選が大詰めとなっています。
各グループリーグで1位は出場が決定しましたが、
2位の8ヵ国は4組に分かれて対戦し、各勝った方が出場となります。
あの強豪国フランスがこの2位グループに入っています。
フランスはこの組み分けの方法に、不満があります。
FIFAランキングが上位の4ヵ国が優遇されて、
お互いにぶつからないようシードされます。
フランスはランキング25位でシードされていません。
ヨーロッパ予選の各グループは、5チームと6チームに分かれており、
フランスは5チームのグループでした。
ランキングのポイントを稼ぐには、勝ち数を多くする必要があり、
チームが少ない組合せの国は勝ち数が稼げずに不利という論理です。
5チームのグループのほうが6チームのグループより、
当然1位になる確率は高くなります。
試合数が少ないので効率よく本戦に出場することができます。
もし、フランスがグループで1位になっていれば、
こんな不満は出なかったはずです。
フランスの言い分はちょっとへりくつのようにも感じます。
でも、1位か2位かという前提条件が変わると、
「有利不利」の考え方も変わるんだなあと思いました。
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