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過大な役員給与の取扱い(2012年12月25日)

2012年12月26日

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  ●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン vol.114 2012年12月25日配信●
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・ご挨拶……………………………… クリスマスイブはいかがでしたか?
・特集………………………………… 奥さんや長男の給与が多いと・・・

● ご 挨 拶 ○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○

○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。 
いつもメールマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。

今年もお世話になりました。今年最後のメールマガジンになります。
昨日のクリスマス・イブは、いかがでしたでしょうか?
うちは家族4人で定番のチキンにケーキで楽しみました。
子どもが2人とも中学生なので、もはやサンタの出番はなくなりましたが。。。(笑)

● 特 集 ○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○○o。

今日のテーマは「過大な役員給与の取扱い」です。
法人税の規定では【過大な】役員給与については、
経費に落とせないことになっています。

それでは何をもって過大となるのか?
ということになりますが、
(1) 実質基準
(2) 形式基準
いずれかを超えた多い部分が過大となります。
この基準はそれぞれの会社で異なります。

たとえば、役員給与が月額100万円で、この会社の
(1) 実質基準・・・80万円
(2) 形式基準・・・110万円とすると、
実質基準を超えた月額20万円(= 100万円 - 80万円)が、
過大となります。
よって、20万円が経費に落とせないことになります。

(2)の形式基準とは、
株主総会などで決められた限度額のことです。
自社で決められるわけですから、まず超えることはありません。
となると【実質基準】がポイントになります。

この実質基準とは、以下を総合的に考慮して算定します。
① 役員の職務内容
② 会社の収益
③ 会社の他の社員に対する給料の支給状況
④ 同業種、同規模の会社の支給状況、など

といっても、①~④を考慮して
役員の給与を支給する会社は、まずありません。
社長やその親族への役員給与は、
支払えるだけ支払っている、というのが実状でしょう。

そして税務調査が入ると、
「奥さんの給料が多すぎますね」
「ご長男の給料が多すぎますね」
と調査官から指摘されることがよくあります。
どのくらいの金額で指摘されるのか?
判例と裁決例で考えてみましょう。

<大分地裁 平成20年12月1日判決>
代表取締役に対する役員給与
(1) 平成13年3月まで・・・130万円/月
(2) 平成14年3月まで・・・150万円/月に引き上げ
(3) 平成14年8月まで・・・さらに200万円/月に引き上げ
この(2)と(3)の期間に支給された給与のうち、
130万円を超える部分が過大とされ、否認されました。

代表取締役は、その会社の最高責任者ですので、
税務調査で給料が過大とはまず指摘されません。
このケースで過大とされた理由は、以下のとおりです。
○ 平成12年1月~14年8月までがんによる入退院を繰り返したこと
○ 増額について株主総会の決議がされていないこと
○ 同業種、同規模の代表取締役の給料は130万円程度であること

ちなみに、代表取締役は平成14年8月に亡くなられて、
会社は死亡退職金1億1,200万円を
代表取締役の遺族に支払っています。
この退職金の一部も過大とされ、4,830万円が否認されています。

会社の真の意図はわかりませんが、
死亡退職金を多額に支給したいがために、
亡くなる直前に役員給与を引き上げたのでは?
とも読み取れます。

この判例で注目してほしい点は、
入退院を繰り返すような健康状況でも、
役員給与を引き下げることまでは要求されていない点です。
130万円/月のままなら指摘されることはなかったでしょう。

さらに、国税不服審判所の裁決例です。
<平成20年11月14日裁決>
代表取締役の妻への役員給与について、
出勤日数が1ヵ月平均で2~3日程度、
さらに重要な仕事をおこなっていないとして、
支給額の一部が否認された(金額は未公表)。

<昭和62年8月25日裁決>
非常勤の取締役への役員給与(年額480万円)について、
会社の業務にまったく従事しておらず、取締役会も欠席しているため、
類似する会社のデータより年額60万円が妥当とされ、
超える420万円について否認された。

<昭和57年3月13日裁決>
代表者の長男(元公務員)である専務取締役の役員給与について、
入社10ヵ月目からの月額50万円が妥当とされ、
当初9ヶ月間の月額85万円のうち、
超える35万円 × 9ヵ月 = 315万円について否認された。

これらの判例、裁決例から【実質基準】のポイントが見えてきます。
○ 代表者の役員給与は病気となっても引き下げなくてよい
○ 勤務実態がほとんどない役員給与は否認されやすい
○ といっても5万円/月程度なら認められる
○ 常勤の実態があれば50万円/月程度なら認められる

実際に私が税務調査の立会いをして必ず指摘されるのが、
代表者の奥様やご長男などの役員の勤務実態です。
親族の役員が非常勤の場合は、
○ 出勤日の実績を残しておくこと 
○ 自宅で経理や給与計算をしている場合は説明できること
こういった点が特に重要になります。
顧問税理士とよく相談されて、
今から十分な準備をしておくことをお勧めします。

● 編 集 後 記 ○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。

新年は1月15日(火)から配信を予定しています。
このメールマガジンも今回で114回目となりました。
引き続き毎週火曜日に配信していきます。
それでは良いお年をお迎えください。
来年もよろしくお願いいたします。

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