交際費の税務上の取扱い(2012年3月21日)
2012年3月21日
2012年3月21日
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○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメールマガジンをお読みいただき、
ありがとうございます。
いよいよ花粉のシーズンになりました。
私は、30年来の花粉症の大ベテランですので(笑)、
ここ1、2週間は、くしゃみと鼻水で大変です。
ただ、例年より症状が軽いのが救いですね。
ヨーグルトを毎日1㎏1ヶ月も食べ続けて、
花粉症を治した人を知っていますが、
治すのはかなりの覚悟がいるようです。
さて、今回は「交際費の税務上の取扱い」についてです。
会社が支払った交際費の税務上の取扱いは、次のようになっています。
○ 資本金1億円以下の会社は、
○ 1期で600万円までの交際費については、
○ 10%が経費とならない。
よって、会社にとって有利な順は、
(1) 交際費とならず「会議費」などの一般経費になること
→ すべてが経費になります。
(2) 交際費になること
(3) 交際費にならず「役員賞与」になること
→ すべてが会社の経費にならず、個人の所得税もかかります。
となります。
ちなみに、個人事業の場合は、
交際費は無制限に経費となります。
年間で500万円でも1000万円でも経費です。
そんなに使うの?というそもそもの問題はありますが・・・
会社が使う交際費で、
よくありがちな経理処理とその対策を考えてみましょう。
<事例1 パーティー、ゴルフコンペの主催>
【よくありがちな経理処理】
パーティーやゴルフコンペを主催する場合、
かかった費用から、参加者からの参加費を差し引いて経理処理する。
たとえば、パーティー費用50万円、参加費30万円の場合、
差引で20万円を交際費する経理処理です。
【税務調査での指摘】
パーティ費用はあくまでも50万円が交際費で、
受け取った参加費を雑収入として計上すべきと指摘されます。
交際費の金額は20万円から50万円に増え、
その10%が税金の対象になります。
【その対策】
当社が参加者に領収証を切らずに、
宴会場から参加者に領収証を切ってもらいます。
これなら、30万円分は当社は関係なしになり、
交際費はあくまでも20万円になります。
<事例2 同業者団体の特別会費>
【よくありがちな経理処理】
通常の会費と同様に、
ゴルフコンペの特別会費も、
「諸会費」として経理処理する。
【税務調査での指摘】
あくまでも実質のゴルフ代として、
「交際費」と認定されます。
【その対策】
当初から「交際費」として経理処理をします。
請求書の内容をよく見て判断することが大切です。
税務調査で指摘されなければ、
よけいな加算税、延滞税を払うことはありません。
<事例3 会議か宴会かあいまいなもの>
【よくありがちな経理処理】
1泊で泊まりがけの研修旅行について、
宿泊費、宴会費用をすべて「研修費」として処理する。
【税務調査での指摘】
実質は宴会がおもな目的として、
そのすべてについて「交際費」として指摘されます。
【その対策】
研修の実態について、スケジュール表や研修の実績を、
書面で残しておくことが必要です。
かかった費用については、
実質に研修である部分と、
宴会部分を明確に区分しておきます。
これなら、往復の旅費、宿泊費は「研修費」、
宴会費用は「交際費」となります。
さらに、社員旅行を兼ねたものであれば、
宴会費用も「福利厚生費」として、
全額を経費とすることも可能です。
<事例4 そもそも個人が負担すべきもの>
【よくありがちな経理処理】
社長が使った本来は個人が負担すべき、
(1) 家族旅行
(2) 個人の飲食代
(3) ゴルフクラブのセット費用
などを、交際費として処理した。
【税務調査での指摘】
そのすべてが「役員賞与」と認定されます。
【その対策】
明らかに個人負担のものは、経費に落とさないことです。
税務調査で指摘されて「役員賞与」となると、
会社、個人両方から税金を支払うことになり、
かえって出て行くお金が多くなってしまいます。
それぞれについて、どうしても経費に落としたい場合は、
(1) 社員の家族も全員参加の社員旅行とすれば、
「福利厚生費」とすることが可能です。
ただし費用がかさむでの
そもそも家族分まで会社負担すべきかという問題はあります。
社員本人分は会社負担で「福利厚生費」、
家族分は各個人負担、とする会社が多いようです。
(2) 仕事関係者との飲食であれば「交際費」、
1人5,000円以下なら、さらに「会議費」となります。
飲みが主でなければ残業代として、
「福利厚生費」とすることも可能です。
これも社員全員が同じ条件とすることが前提です。
(3) これについては、頭が回る社長がいて、
友人の会社とゴルフセットをプレゼントし合って、
お互いに贈り物として「交際費」にした会社がありました。
たしかに税務調査でわかりづらいのですが、
実態はお互い自分の物ですから「役員賞与」です。
あまりお勧めはできませんね。
このように「交際費」とならないためには、
実態をよく確認して、経理処理をすることが大切です。
税務調査で「役員賞与」とされることは、
絶対にさけるようにしてください。
【編集後記】
昨晩は、妻と下の子がお出かけのため、
近くのスーパーで和牛のステーキを買って、
上の子と2人で美味しくいただきました。
値段は、300gで1,300円。
放射能の風評被害で大幅な割引となっていました。
検査済みの食品なら、まったく問題はありません。
放射能の影響を軽く見るのはよくないことですが、
必要以上に怖がることも避けたいですね。
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落合会計事務所
税理士 落合 孝裕
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