修正申告を求められる期間の延長(2012年3月13日)
2012年3月13日
2012年3月13日
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○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメールマガジンをお読みいただき、
ありがとうございます。
震災から1年経ちました。
昨年10月に仙台と松島に行く機会がありました。
ほとんど以前の状態に戻っており、ほっとした覚えがあります。
ただし、被害が大きかった地域は、まだ大変な状況のようです。
事務所としてはできることを続けようということで、
寄付を継続しておこなうようにしています。
さて、確定申告の期間がいよいよ15日で終了となります。
この時期は、税務署の職員のほとんどが、
その手伝いにかり出されます
確定申告が終わって3月後半からは、
いよいよ税務調査のシーズンになります。
今回は「修正申告を求められる期間の延長」についてです。
会社や個人事業に税務調査が入った場合、
申告に誤りがあって、修正申告書を提出することになると、
調査官からは【3年分】の修正を求められます。
これが平成23年度の税制改正により、
今後は【5年分】の修正を求められる可能性が高くなります。
あまり目立たない改正ですが、これから大きな影響が出てきます。
現状の3年分の修正は、
税務署が「更正」できる期間の3年に合わせています。
「更正」とは、すでに提出した申告書の税額について、
税務署側が誤りを書面で修正することです。
ただし「更正」は手間がかかり面倒なので、
調査官は、会社に3年分の修正申告書の提出を求めるのです。
「税務署はいざとなれば御社が提出した申告書を、
3年間直すことができますよ。
間違いは御社のほうで3年分直してくださいね。」
ということです。
これが、平成23年12月2日以後の申告期限のものについては、
「更正」できる期間が【5年】に延長されます。
会社の場合、申告期限は2ヵ月以内のため、
平成23年10月期からが対象です。
「更正」できる期間が5年になると、
「修正申告書」も5年分要求される可能性が高くなります。
ここで、税務調査の流れをおさらいしましょう。
税務調査が入って、調査官から誤りを指摘された場合は、
以下のいずれかになります。
(1) 会社が修正申告書を提出する。
(2) 修正申告書を提出しない場合、税務署が「更正」をする。
(3) 税務署が「更正」がむずかしいと判断すれば、調査は終了となる。
実際の税務調査では、(1)になることがほとんどでしょう。
修正申告書を提出することは、
会社が誤りを認めたことになります。
その後は国税不服審判所に「異議申立」をすることはできません。
会社は、国の機関に文句を言うことができなくなるわけです。
税務署にとって、これが一番望ましい終わり方です。
したがって、調査官は修正申告書の提出を必ず勧めます。
これからの調査では調査官から、
「更正できる期間が5年になりました。
(いざとなれば更正を5年分できます。)
よって、修正申告書は5年分お願いします。」
と言われることが予想されます。
3年分なら300万円の修正税額が、
5年分なら500万円になります。
さらに、
○ 加算税(10%)
○ 延滞税(年14.6%)
もしっかり取られて思わぬ出費になってしまいます。
それでは、会社はどのように対応したら良いでしょうか?
まず1つ目は、無用な間違いはしないことです。
税務調査は早く終わらせたいがゆえに、
わざと小さな間違いをして、
その分の修正申告書の提出で終わらせる
おみやげ」をつくる会社がありますが、
これはぜひやめてください。
これからは3年分の修正が5年分になってしまいます。
くれぐれも不用意に間違えをしないようにしてください。
2つ目は、グレーゾーンについては、
税務調査で「更正をしてください」と
税理士に言ってもらうことです。
これは税理士が税務調査に慣れていないと、
恐くてなかなか言えないことばです。
また、切り出すタイミングも大切です。
現実には「更正をしてください」と言われて、
調査官から「更正をします」と返されることは極めてまれです。
税務署が「更正」をしたあとで、
会社が納得しない場合は、
国税不服審判所に「異議申立」をすることができます。
そこでは残念ながら9割以上の納税者が負けています。
ここで大切なことは、税務署は勝ったとしても、
「異議申立」を起こされることは汚点になることです。
税務調査がスムーズに終了しなかった証拠になります。
会社にいかに修正申告書を提出させるかが、調査官の腕です。
「異議申立」をされる可能性がある「更正」は、
調査官は極力さけたいのです。
昨年、税務調査に立ち会ったときに、
会社が払った数千万円の外注費が問題視されたケースがありました。
最終的に私から「更正をしていただけますか?」
と調査官に言ったところ、たったその一言で、
修正申告の要求額は数十分の一になりました。
これからは、税務調査に対しては、
税理士の対応力がさらに重要になります。
実際に改正が影響が出てくるのは、
改正から3年を経過する平成26年12月以降になります。
今から心構えをしておくことが大切になりますね。
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落合会計事務所
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