比準要素数1の会社の株価対策(2021年10月19日)
2021年10月19日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン
vol.520 2021年10月19日配信●
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・ご挨拶……… 急に寒くなりましたね。
・特集………… 連続赤字の会社の株価対策はこうします
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
急に寒くなりましたね。
ほんの1週間前までは半袖だったのに。。。
例年この時期は気温の変動が厳しいですね。
体調管理に気をつけていきましょう。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
今回は、「比準要素数1の会社の株価対策」です。
オーナー経営者にとって相続税対策は、
後継者への「自社株」の事業承継が、
大きなポイントになります。
○ 黒字が大きい会社は株価が高い
○ 赤字が大きい会社は株価が低い
一般的には、このようになります。
したがって、大きな赤字が出た後は、
生前贈与の絶好のチャンスとなります。
○ コロナで業績が急激に悪化
○ 社長が退職して退職金を支給
この決算後は、株価が大幅に下がります。
一方で、赤字で配当の支給ゼロが2期続くと、
かえって株価が上がることになっています。
少し分かりづらい税制のルールですが、
これは十分に注意をしてください。
意図的に赤字を続ける会社については、
株価を高くすることでシャットアウトする
という趣旨のようです。
さて、自社株の評価方法は、
(1)類似業種比準価額
上場会社の株価に比準して計算する価額
(2)純資産価額
会社の解散時の価額
会社の規模に応じて、
この2つを組み合わせて評価をします。
「純資産価額」【A】で評価をしますが、
「類似業種比準価額」を一定割合組み入れた評価額【B】
で評価することもできます。
よって【A】と【B】の低い方が会社の株価となります。
【B】は会社の規模により以下となります。
会社の規模が小さい → 大きい順に、
(イ)「純資産」50% +「類似」50%
(ロ)「純資産」40% +「類似」60%
(ハ)「純資産」25% +「類似」75%
(ニ)「純資産」10% +「類似」90%
(ホ)「純資産」0% +「類似」100%
たとえば、規模が一番大きい会社(ホ)は、
○「純資産価額」
○「類似」100%
いずれか低い評価額となります。
類似」の方が低くなる会社が多いので、
結果的には一番大きい会社(ホ)は、
「類似」100%で評価することが多いです。
会社の規模の判定は、
○ 従業員数
○ 総資産価額
○ 年売上金額
3要素により行われます。
たとえば、従業員が70人以上の会社は、
無条件に上記(ホ)になります。
上記のように株価を計算しますが、
例外として2期連続で、
○ 赤字で、
○ 無配(配当ゼロ)の会社は、
【B】の金額を以下で計算することになります。
「純資産」75% +「類似」25%
計算してみると(イ)~(ホ)と比べて、
株価は大幅に上昇することが多いです。
その直後に相続が発生すると、
相続税が大幅に増えますので、
相続人は悲惨なことになってしまいます。
特に、
○ 長期的に業績が良い会社や、
○ 不動産など含み益が大きい会社が、
たまたま赤字が2期続いた場合は、
通常は配当も出さないでしょう。
株価が10倍以上になることもあります。
それではこうならないためには、
どのように対処すれば良いでしょうか?
手っ取り早い対策としては、
「配当」を出すことで対応できます。
1期赤字で次に期も赤字になりそうなら、
2期目の途中で配当を出すことです。
これで株価上昇を避けることができます。
ただし配当を出すとなると、
次のように様々な手間がかかります。
○ 臨時株主総会を開催する
○ 配当を株主に振込む
○ 源泉徴収税額を納付する
○ 支払調書を発行する
○ 株主は確定申告(年10万円以上)が必要
さらに、配当は会社の経費になりません。
このように「配当」を出すことで、
株価の高騰を避けることができますが、
本来の会社の目的である「黒字」化で、
できれば難を逃れたいものです。
会社の業績が悪いときに、
何とか黒字にするためには、
以下のような対策が考えられます。
(1)社長の給料を下げる
(2)年払い経費を月払いにする
(3)減価償却費を計上しない
(1)社長の給料を下げる
2期連続で赤字は、
経営者の責任は大きいでしょう。
社長の給料の引き下げで、
赤字を免れることが可能なら、
まずは引き下げを考えるべきでしょう。
役員報酬の変更については、
税法では期首から3ヵ月以内が原則ですが、
会社が赤字で業績悪化の場合は、
4ヵ月以降でも引き下げは可能です。
(2)年払い経費を月払いにする
生命保険や家賃など、
年払い経費を月払いに戻す、
これも大きな効果があります。
会社の資金繰りも改善します。
(1)と(2)の組み合わせで、
2期連続赤字を避けるようにしましょう。
(3)減価償却費を計上しない
それでも赤字が解消しないようなら、
減価償却費で調整することも手です。
製造業などでは減価償却費の金額は大きく、
1期まったく計上しないと、
かなり大きな利益が計上できます。
融資先の銀行では償却不足はチェックをするので、
これのみで黒字にしたところで、
融資条件が良くなることはまずありません。
さて、このように自社株の評価方法は、
ややこしく、クセも強い仕組みになっています。
まずは○○さんの会社では、
自社株の評価を毎期行うようにして、
相続税が不要に増えないように心掛けてください。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
コロナ感染者数が少なくなってきました。
政策が良かったのか、国民のモラルが高いからか、
専門家の話でも今ひとつわかりませんが、
まあとにかく一安心ですね。
これからは、飲食、旅行、ホテルなど、
気を付けながら経済を回復させることが大切ですね。
あと、大学の対面授業もそろそろ始めないと、
5年後、10年後の日本が少し心配です。
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