名義預金の原資、令和元年9月10日裁決(2020年9月30日)
2020年9月30日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン
vol.486 2020年09月30日配信●
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・ご挨拶……… 急に肌寒くなりました
・特集………… 相続税は名義預金が問題となります
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
急に肌寒くなりました。
今朝は寒くて起きてしまいました。
少し前まで猛暑だったのに。。。
かぜを引かないように注意しましょう。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
さて今回は、「名義預金の原資、令和元年9月10日裁決」です。
相続税の税務調査が入ったときに、
調査官から確認されることの1つに、
故人の家族の名義を借りた預金、
いわゆる「名義預金」があります。
家族の名義を借りた預金で、
実質は故人のものについては、
相続財産の対象となります。
税務調査で名義預金の漏れを指摘されると、
相続人は修正申告を提出することになります。
夫の相続税の申告の場合、
妻名義の預金が問題となることが多いです。
調査官は事前に銀行でお金の動きを調べています。
「これは私の預金です」と奥さんが言い張っても、
「いえ、これは明らかにご主人の預金ですね」と、
お金の動きで否認されることがあります。
昨年9月の裁決で、
名義預金で納税者が負けた事例があります。
(2020年9月23日税のしるべ電子版より)
<令和元年9月10日非公開裁決>
【概 要】
○ 夫が死亡、相続人は妻と子2人の計3人
○ 平成27年8月に遺産分割協議が成立
○ その後に相続税申告書を提出
○ 相続人に税務調査が入った後、
平成30年3月に修正申告書を提出
○ 税務署より平成30年7月に、
妻名義の預金1,000万円を、
「名義預金」とする更正処分を受ける
【審判所の判断】
○ 平成21年5月、夫の口座から1,000万円が出金
○ 同日、妻の口座に1,000万円が入金
○ その後数年ごとに妻名義で預金が預け替えられている。
○ 妻は夫より生前に贈与を受けたことはない。
○ したがって、妻名義の1,000万円の預金は、
夫の相続財産である。
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この裁決例から以下を学ぶことができます。
(1)調査官は銀行のデータを調べることができる
(2)親族間で同日に同額の入出金は問題視される
(3)税務調査で生前の贈与の有無は確認される
まず、調査官は銀行のデータを調べることができます。
銀行に残っているデータは過去10年となっています。
事前に調べてから調査に入ることが多いようです。
調査官がまずチェックするのは、
親族間で同時期に同額の入出金がないかです。
申告されていないものが見つかれば、
○ 贈与税の申告漏れ
○ 相続税の名義預金の申告漏れ
いずれかにつながる可能性が大となります。
こうならないよう相続税の申告をする場合は、
できれば故人と親族の過去10年分の預金を、
調べてから申告をすることが無難です。
では、過去に亡くなった夫から妻へ、
同時期に同額の出金 → 入金があった場合で、
贈与税の申告をしていないときは、
どうしたらよいでしょうか?
いさぎよく相続財産として申告をすることです。
預金を引き継ぐのは名義の妻となるでしょう。
「配偶者の税額軽減」の制度があるため、
○ 1億6千万円
○ 法定相続分(子どもありなら1/2)
いずれか大きい金額まで相続税はかかりません。
仮に1,000万円の妻名義の預金を、
相続財産として申告をした後でも、
上記以内なら妻の相続税はゼロということです。
一方で、1,000万円の名義預金を、
税務調査で指摘されて修正申告を提出した場合は、
仮装または隠蔽とされるケースが多いです。
となると「配偶者の税額軽減」は、
修正申告をした財産には適用できません。
その結果、本税と重加算税等を合わせて、
数百万円の修正税額となってしまいます。
また、税務調査では上記(3)のとおり、
故人からの生前贈与ついて質問されます。
「ご主人から生前に贈与を受けたことがありますか?」
「贈与を受けていました」と答えると、
「その分は修正してください」と、
調査官から言われそうです。
「生前贈与は受けていません」と、
答えることが一般的です。
調査官はこう確認したうえで、
「生前贈与を受けていないのなら、
ご主人から出金した金額について、
そのまま奥さん名義にした預金は、
実質はご主人の財産ですね」
と修正申告の提出を求めるのです。
9月23日の日経新聞で報道されたように、
新型コロナの感染に気をつけながら、
10月から税務調査が再開となる見通しです。
○○さんは「名義預金」で修正とならないように、
相続税の申告をおこなってください。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
ここのところの急な気候の変動で、
ともかくも過ごしやすい季節になりました。
食べ物も美味しい時期ですね。
旬の魚も、さけ、さば、かつお、など多いです。
今年はさんまがないのが寂しいですが、
来年の楽しみということになりますね。
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