令和2年度、給与所得控除の改正(2020年8月12日)
2020年8月12日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン
vol.479 2020年08月12日配信●
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・ご挨拶……… 猛暑日が続いています
・特集………… 役員報酬100万円を下げた方がよい理由です
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
猛暑日が続いています。
今日も東京の最高気温は35度の予報です。
一週間くらいこんな天気が続くようです。。。
熱中症予防に水分補給が大切になりますね。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
さて今回は、「令和2年度、給与所得控除の改正」です。
令和2年から所得税が大きく改正されています。
なかでもすべての人に影響があるのが、
以下2点の改正です。
(1)給与所得控除
一律10万円の引下げ(増税)
(2)基礎控除
48万円へ10万円引上げ(減税)
いずれも所得から差し引くものなので、
○ 控除が10万円引下げ(マイナス)は増税
○ 控除が10万円引上げ(プラス)は減税
ということになります。
マイナスとプラスが各10万円ずつで、
差引きゼロなので損得なしかというと、
すべての人がそうではありません。
まず「給与所得控除」については、
年収850万円超では引下げ額が、
10万円を超えます。
つまり増税額が増えることになります。
年収1,000万円超の給与所得控除は、
○ 令和元年まで・・・220万円
○ 令和2年から・・・195万円
引下げ額は25万円となります。
この年収の人はかなり増税となりますね。
次に「基礎控除」については、
令和2年から38万円が48万円と、
10万円の引上げとなり、
基礎控除は減税となりました。
こちらも年収が高い人の場合は、
段階的に控除額が少なくなり増税となります。
○ 2,400万円以下・・・48万円
○ 2,450万円以下・・・32万円
○ 2,500万円以下・・・16万円
○ 2,500万円超・・・・・・・・・0円
ややこしいのでここまでをまとめます。
給与所得控除と基礎控除について、
令和2年から年収ごとの控除の増減です。
控除が減少(マイナス)= 増税となります。
○ 850万円以下・・・・・増減なし
○ 1,000万円・・・・・15万円減少
○ 2,450万円・・・・・31万円減少
○ 2,500万円・・・・・47万円減少
○ 2,500万円超・・・63万円減少
実際に支払う所得税と住民税は、
所得1,800万円を超えると、
税率は合計で50%になります。
控除が63万円減少 → 31万5千円の増税、
ということになります。
さらに、注意していただきたいことは、
オーナー経営の会社で、
社長の役員報酬が月額100万円のケースです。
切りがよく月額100万円で年収1,200万円、
このように役員報酬を決めることはよくあります。
年収1,000万円以上の給与所得控除は、
○ 令和元年まで・・・220万円
○ 令和2年から・・・195万円
控除額が25万円減ることになります。
年収から給与所得控除を引いた金額を、
「給与所得」と言いますが、
年収1,200万円の給与所得は、
○ 令和元年まで・・・980万円
○ 令和2年から・・・1,005万円、となります。
年収1,200万円と変わらなくても、
給与所得は今年から1,000万円超になります。
所得1,000万円以下で適用できる制度に、
「配偶者控除」と「配偶者特別控除」がありますが、
年収1,200万円の人は、
令和元年までは、
所得980万円<1,000万円で適用できたのに、
令和2年からは、
所得1,005万円>1,000万円で適用できない、
こういうことになってしまいます。
使えるようにするためには、
役員報酬を最低年収5万円下げる必要があります。
さらに「配偶者控除」と「配偶者特別控除」は、
平成30年以後は段階的に減額の改正がされており、
所得900万円以下なら満額が適用できます。
(配偶者の年収が150万円以下が前提)
所得900万円とは、
給与所得控除の195万円を足して、
年収では1,095万円となります。
÷12ヵ月で91万2,500円となります。
切りよくすると月額90万円です。
結論としては、
役員報酬が月額100万円(年収1,200万円)は、
配偶者の控除がまったく取れなくなるため、
月額90万円(年収1,080万円)に押さえたほうが良い、
ということになります。
ここ数年は税制がめまぐるしく改正されています。
高所得者を狙い撃ちにした改正がえげつないですね。
改正点をよく分析してできることは対応する、
こういうスタンスでやっていくしかありませんね。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
今回のメールマガジンでも2点取り上げましたが、
令和2年からの所得税の改正がたくさんあります。
一つ一つを間違いなく対応するには骨が折れます。
いずれもここ2年以内に改正されたものですが、
オリンピックの好景気を前提としたものだったのでしょう。
今となっては事務作業が無用に増えてしまって、
デメリットしか感じられないのが残念ですね。
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