漢方薬、医療費控除(2020年1月7日)
2020年1月7日
2020年1月7日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン
vol.456 2020年1月7日配信●
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・ご挨拶……… あけましておめでとうございます
・特集………… 漢方薬は医療費控除でOKでしょうか?
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
あけましておめでとうございます。
令和で初めての年末年始でしたが、
天気にも恵まれ穏やかな正月でした。
でも、正月感は年々薄れているようですね。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
さて今回は、「漢方薬、医療費控除」です。
確定申告の時期が近くなりました。
そろそろ準備を始めるころですね。
なかでも医療費控除の適用を受ける人は多く、
平成30年の申告では760万人にもなります。
医療費が年10万円を超えると適用できます。
家族分も合算できますので、
なるべく多く領収証を揃えたいところです。
対象となる医療費の範囲は、
クリニックでの治療費や薬代のほか、
ドラッグストアで購入するかぜ薬や胃腸薬など、
病気の治療に要するものは対象になります。
さらに、漢方薬やビタミン剤については、
医薬品に該当することが条件になりますが、
○ 病気の治療に使うと、
→ 医療費控除でOK
○ 病気の予防、健康増進に使うと、
→ 医療費控除の対象外
となっています。
では、病気の治療に使ったことは、
どのように説明すればよいのでしょう?
医師の処方箋があれば問題ありません。
ただし、処方箋がなければダメかというと、
そういう訳ではありません。
たとえば「葛根湯(かっこんとう)」
かぜのひき始めには効きますね。
私もよく飲んでいます(笑)。
処方箋なしでドラッグストアで買いますが、
治療のために飲んでいるので、
医療費控除はOKとなります。
治療に使ったかどうかは、
結局は自己申告ということになります。
漢方薬が医療費控除となるかについて 、
以下、最近の裁決例があります。
<令和元年5月22日裁決>
【概 要】
○ 甲は、平成28年分の確定申告で医療費控除を適用。
○ 甲は、漢方薬等4品(A~D)をインターネットで購入。
○ 甲の母親が服用していた。
【国税不服審判所の判断】
○ 漢方薬等のうちA,Bについては、
健康補助食品として販売されている。
○ ホームページには効能効果の記載はなく、
使用目的が食用に限定されている。
○ よって、A,Bには医療費控除の適用は不可。
○ 一方、C、Dは医薬品として販売されている。
○ しかし、その効能効果は滋養強壮であり、
一般的に疲労回復や健康維持のために服用される。
○ また、Cの購入量は2,040日分と大量だった。
○ 甲がアドバイスを受けたという医師、薬剤師からは、
実際には具体的なアドバイスは受けていなかった。
○ 以上より、C、Dは治療のため必要な医薬品ではなく、
医療費控除の適用は不可。
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結局、医療費控除のすべてが否認されましたが、
否認ポイントをまとめると以下になります。
(1)医薬品でないこと → 原則ダメ
(2)医薬品でも効果が滋養強壮 → 原則ダメ
(3)購入量が大量だと不自然
(4)医師、薬剤師から具体的なアドバイスなし
(1)(2)は、最低クリアすべきポイントになります。
(3)は、上記では2,040日分とあります。
漢方薬名の記載がされていませんので、
仮に「葛根湯」で換算すると、
約40円/包 × 1日3包 × 2,040日で、
約24万円にもなります。
1年でこんなに飲んだら体をこわします(苦笑い)。
(4)は、前述のとおり絶対要件ではありません。
さらに、医療費控除を争った裁決では、
昭和60年4月18日のものがあります。
漢方薬については医療費控除が認められ、
この部分は納税者が勝っています。
医療費控除が認められたのは以下の漢方薬です。
いずれも医薬品で、医師の指示はありません。
○ ヨクイニントウ・・・関節痛、筋肉痛、神経痛など
○ ゴレイサン・・・・・・急性胃腸炎、下痢、頭痛など
○ トウキネンツウトウ・・・慢性関節リウマチなど
右側は効果効能になります。
いずれも治療のためと推定できることが、
納税者が勝った理由になっています。
さて、ここ数年は所得税の増税が続いています。
せめて医療費控除で少しは税金を戻したいですね。
そうは言っても、漢方薬については、
○ 医薬品であること
○ 使用目的が治療のためであること
上記の2点がポイントになりますので、
健康増進の目的では控除しないようご注意ください。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
正月は「箱根駅伝」を見てしまいます。
あの箱根の坂道を駆け上がるのは、
とうてい人間業とは思えません(笑)。
原監督はさすがにインタビューがうまいですね。
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