相続税における預金のポイント(2011年6月21日)
2011年6月21日
2011年6月21日
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○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメルマガをお読みいただき、ありがとうございます。
今日は全国的に雨模様です。
梅雨の天気がしばらく続きそうですが、
体調にお気を付けくださいね。
今日は相続税の財産のうち「預金」のお話をします。
相続税は、人が亡くなったとき(相続があったとき)に、
その亡くなった日に所有していた財産に対して、かかる税金です。
不動産や預金や上場株式が、おもな財産になります。
財産を集計して「基礎控除額」を超えた場合にのみ、
申告する必要があります。
「基礎控除額」は、
5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)、です。
相続人が3人なら、合計で8,000万円になります。
この「基礎控除額」は、今年4月の相続から40%少なくなる予定でした。
つまり、大幅な増税になる予定でした。
震災の影響もあり、増税するかどうか未だに決まっていません。
さて、亡くなった人のだれもが持っている財産が「預金」です。
そして、相続した時点で、預金がいくらあったか証明する書類が、
銀行が発行する「残高証明書」です。
この書類に、亡くなった日の預金の最終残高が記載されます。
たとえば、
亡くなる1ヵ月前に預金に1,000万円の残高があっても、
亡くなる直前にそのうち500万円引き下ろせば、
残り500万円のみが残高証明書の金額となります。
ということで、
「いよいよ危なくなったら、預金からどんどん下ろしてしまえば、
その分の相続税が少なくなる」と考える人がいます。
ただし、この直前に引き下ろした預金は、
実際には使っていないことがほとんどでしょう。
したがって「手元現金」として申告する必要があります。
となると今後は、
「本人が亡くなる前に使ったことにしよう」と考える人もいます。
たしかに、それなら相続財産となりません。
でも、
「入院して相続直前の本人が500万円も使えるのですか?」
という疑問が生じますね。
税務調査に入ると、まず財産の漏れと指摘されます。
それでも、
「なるべく税金を少なくしたい」というのが相続人の本音です。
亡くなった方の生活費程度なら、
その引き下ろした金額から引いて申告しても問題ありません。
たとえば、
○ 亡くなる前に引き下ろした500万円
○ そのうち生活費が30万円
○ よって手元現金は470万円
といった具合です。
では、直前に預金から引き下ろすことは、意味がないのでしょうか?
これは、相続税の節税にはなりませんが、
財産を確保するために必要なのです。
亡くなった事実を金融機関が知ると、
預金を封鎖することになります。
つまり、預金の出し入れがまったくできなくなってしまうのです。
もちろん、永遠に出し入れができないわけではありません。
相続人の間で、だれがその預金を引き継ぐかという、
遺産分割が整うと、その引き継ぐ人の財産となって、
晴れて封鎖が解けるわけです。
ただし、この手続きは数週間はかかってしまいます。
そこで、お葬式費用やその他の余裕資金で、
500万円くらいを下ろしておくことは、
十分意味があることなのです。
最近は1日の引き下ろし額の上限が、
少なくなっていますので、
数日かけて引き下ろすことになりましょう。
さて、
「それでも何か節税ができませんか?」
こういう質問もあります。
相続の時期が近づいている場合は、
「ご本人の近くになるべく長い時間いてあげてください」
とお話しするようにしています。
その上でおこなうことができる節税ですが、
これは「生前贈与」が有効です。
贈与は、財産をあげる側ともらう側の双方の意志が
はっきりしていることが前提となります。
書面でおこなうことが望ましいと言われていますが、
口頭でもかまいません。
ただし、【相続人】にした生前贈与で、相続前3年間にしたものは、
相続財産に持ち戻して計算することになります。
相続人への3年以内の生前贈与は、相続対策にはまったくならないのです。
【相続人】とは、ご主人の相続なら、奥さんと子どもです。
したがって、【孫】なら原則として相続人にはなりません。
よって、孫に財産を生前贈与すれば、
3年以内の持ち戻しがありませんので、
相続の直前に贈与した分でも、相続財産から除外されるのです。
非課税の限度額は1年あたり110万円ですので、
この金額までおこなうことでも良いでしょう。
ただし注意点がいくつかあります。
1 あげた側ともらった側の意志がはっきりしていること
2 贈与された金額は、孫の口座に入金されていること
3 孫の預金通帳は、孫本人が管理していること
1のついては、贈与契約書はあれば望ましいのですが、
なければダメということはありません。
1~3がしっかり説明できれば、まず問題はありません。
さらに、
墓地、仏壇についても、相続税が非課税なので、
生前に購入しておけば、相続のときに税金はかかりません。
ただし、これもじっくりと選ぶものなので、
節税のみを目的として、あまりバタバタと購入するのは、
お勧めではありません。
税務署の調査官は、相続税の申告書を提出があったもののうち、
おかしいと思った申告書については、銀行に調べに行くことができます。
そして、通帳のすべての動きを見る権利があるのです。
たとえ本人が通帳を無くしたとしても、すべてがわかってしまいます。
預金口座からの直前の引き下ろしは、あまり軽く考えずに、
しっかり申告することが大切ですね。
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落合会計事務所
税理士 落合 孝裕
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