故人の預貯金、すぐ引き出し可能?(2019年7月30日)
2019年7月30日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン
vol.435 2019年07月30日配信●
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・ご挨拶……… 今日も暑いですね。。。
・特集………… 7月1日からの新たな相続税の制度です
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
先週から急に暑くなりました。
今日も暑いですね。。。
しばらく33度以上が続きそうです。
水分補給をして熱中症に気をつけましょう。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
さて、今回は「故人の預貯金、すぐ引き出し可能?」です。
7月1日より相続に関するルールが変わりました。
民法のうち相続法の部分が改正されました。
1980年(昭和55年)以来の改正です。
なかでも、すべての人に関係しそうな改正が、
「預貯金の払戻し制度」の創設です。
故人の銀行口座は、遺産分割の対象になるため、
亡くなった時点で凍結されてしまいます。
1円の出し入れもできなくなるため、
葬式費用や入院費用など大きな支払いは、
相続人が自分の口座から引き出して、
立替払いをすることになります。
これでは大変ですので、
実際には亡くなる直前に、
本人名義のキャッシュカードを預かって、
毎日上限の50万円を引き下ろす、
こういうことがよく行われてます。
これは相続人全員の同意があれば、
何ら問題はありません。
その後に相続税の申告をするときには、
引き下ろした金額について、
ありのままに計上すれば、
税務上も問題はありません。
たとえば、以下とします。
(1)直前引下し現金・・・・・200万円
(2)葬式・入院費用計・・・180万円
(1)を財産として計上して、
(2)を債務として差し引くことになります。
差引で相続税の対象になるのは、
200万-180万=20万円となります。
相続直前の引下しの方法は、以下では使うことはできません。
○ 本人がキャッシュカードを作っていない
○ 直前引下しをせずに急死してしまった
こういったケースで口座が凍結されると、
相続人はお金の工面で大変な思いをします。
これが、7月1日の相続から、
預貯金のうち一定額については、
遺産分割の協議前でも、
他の相続人の同意が不要で、
引き下ろすことが可能となりました。
具体的には、以下が上限となります。
(1)口座残高×1/3
(2)(1)×法定相続分
(3)同一金融機関で1人150万円
たとえば、相続人が子ども2人とすると、
それぞれの法定相続分は1/2となります。
被相続人(亡くなった人)の
A銀行の残高が600万円とします。
(1)より、600万円×1/3=200万円
(2)より、200万円×1/2=100万円
(3)より、100万円は150万円以内
A銀行から1人100万円まで下ろせます。
これは朗報ですね。
ただし、手続きが意外に面倒なんです。
(以下、朝日新聞6月16日よりまとめ)
引下しのための必要書類は、次のとおりです。
○ 被相続人(亡くなった人)
除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
○ 相続人全員
戸籍謄本または全部事項証明書
○ 預金を払い戻す人
印鑑証明書
※ 上記は金融機関により一部異なります。
払い戻しまでの期間は、三井住友銀行の場合、
払戻制度の申込書提出から1ヵ月が目安。
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(ここまで、朝日新聞より)
画期的な制度と新聞などで報道されていますが、
「かなり面倒だよね。それに期間が長いなあ。」
これが正直なところでしょう。
何で1ヵ月もかかるのでしょう?
銀行の立場からは、
「あなたは本当に相続人ですか?」
これを戸籍などで確認したうえで、
預金を引き下ろすことになります。
この確認のための期間ということでしょう。
ところで、相続の直後には、
どれくらいお金が必要でしょうか?
(1)葬式費用
(2)入院費用
この2つが主なものとなります。
いずれもケースバイケースですが、
葬式費用については、
日本消費者協会の2017年の報告書では、
195万7千円となっています。
一方で、入院費用については、
前月までは支払い済みでしょうから、
亡くなった月の分になります。
10万円~30万円くらいが目安でしょう。
以上より合計すると、
多めに見て250万円くらいとなります。
今後の対応策をまとめると以下になります。
(1)本人口座から直前に引下しをする
(2)口座のうち一部分割をおこなう
(3)新しい制度を活用する
(1)はこれからも有効となります。
もちろん相続人全員の同意が前提となります。
申告漏れがないよう気をつけてください。
(2)については、
遺産全部の分割協議は時間がかかりますので、
250万円以上の銀行口座を1つだけ、
先に分割協議する方法です。
口座1つのみの分割協議書を作成して、
相続人全員の署名押印をして、
銀行の窓口で払戻をする、
これで費用を支払うことができます。
(1)も(2)もむずかしい場合に限り、
新制度を使うことになるでしょう。
趣旨は非常に良い新制度ですが、
引下しまで1ヵ月ではかかりすぎです。
今後は確認期間をもっと短くすべきでしょう。
1週間以内には引下しをしてほしいです。
もう少しこなれてからの活用が良さそうですね。
●編 集 後 記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
毎日暑い日が続いていますが、
特に夜の気温が高いのが辛いですね。
「ヒートアイランド監視報告2017」によれば、
100年前と比べて年平均気温が、
東京では3.2度も上がっています。
暑いはずですね。。。(苦笑い)
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