有姿除却をする場合の注意点(2016年6月28日)
2016年6月28日
2016年6月28日
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vol.285 2016年06月28日配信●
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・ご挨拶………水不足が深刻です。。。
・特集…………捨てなくても損に落とせる方法です
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今日は気温が上がらずに涼しい1日でした。
ぱらぱらと雨が降ったものの水不足が深刻です。
6月28日の利根川水系の貯水率は39.0%。
ちなみに、昨年は66.6%、一昨年は78.0%。
一昨年の半分しか水が貯まっていません。
まとまった雨がほしいところですね。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
さて今回は、
「有姿除却をする場合の注意点」です。
機械や車など固定資産を使用しなくなった場合、
廃棄をすれば帳簿価額を損失に計上ができます。
これを「固定資産除却損」といいます。
帳簿価額が30万円の機械を廃棄すれば、
固定資産除却損は30万円となります。
固定資産を廃棄、つまり捨てることで、
損失の落とせるわけです。
例外として廃棄をしなくとも、
「その使用を廃止し、今後通常の方法により
事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産」
については、
帳簿価額から処分見込価額を差し引いた金額を、
損失に計上できることになっています。
これを「有姿除却(ゆうしじょきゃく)」といいます。
「姿」は「有」るのに「除却」(=廃棄)して、
損失にすることです。
損失にできる要件は、
上記のとおり2点あることになります。
(1)使用を廃止すること
(2)今後通常の方法により、
事業の用に供する(=使用する)
可能性がないと認められること
(1)は通常は問題ないでしょうが、
(2)の「事業の用に供する可能性がない」
ことの説明がポイントとなります。
また「処分見込価額」とはスクラップなどで
引き取ってもらう場合の価額となります。
引き取り価額がゼロなら、
損失に落とせる金額は帳簿価額そのものとなります。
さて、固定資産の除却損について、
中部電力と国税とで争った裁判があります。
条件の(2)が争点となっています。
(東京地方裁判所:平成19年1月31日判決)
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<状況>
○ 中部電力は平成13年当時に火力発電設備を5基保有
○ 当時は電気の供給量が過大で設備余剰の状態
○ 火力発電の燃料の石油代が他の発電設備より高額
○ 法定耐用年数15年を超えて26年ないし38年稼働
○ 電気事業法にもとづき火力発電設備の使用を廃止した
平成14年3月期・・・4基
平成15年3月期・・・1基
○ 各期で「有姿除却」として損失に計上した金額
平成14年3月期・・・43億5,712万円
平成15年3月期・・・20億4,773万円
<裁判所の判断>
○ 使用を廃止した火力発電設備を再稼働する場合、
通常定期点検に要する費用だけでも、
1基約10億円かかること
○ また廃止後に保守がされていないため、
費用はさらに大幅に増えることが予想されること
○ 昭和39年度から平成16年度までの41年間に、
合計169基の発電設備が廃止され、
その後再稼働したものは1基も存在しないこと
以上により、廃止日の時点で将来再稼働される可能性はなく、
「有姿除却」としての損失は認められる。
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国税側の、
「発電設備の本来の用法にしたがって
事業の用に供される可能性が客観的になくなったと
認めることができない」
という主張は退けられ、納税者側が勝ちました。
さて、○○さんの会社が、
今後、機械などを廃棄せずに、
「有姿除却」をおこなう場合の注意点です。
まず、使用を廃止したと言いながら、
その後一度でも使用することは論外です。
有姿除却は当然に不可となります。
その上での注意点ですが、
今後は通常の方法により、
事業の用に供する可能性がないことの説明を、
なるべく具体的に書面で残しておくことです。
たとえば工場で使用していた機械であれば、
○ 製品のモデルチェンジ
○ 新たな機械の導入による維持コストの高騰
○ 機械そのものが故障がち
こういった理由により、
今後その機械を使用する可能性がゼロである、
ことを書面で残すことです。
このように要件はありますが、
機械や車などの固定資産を捨てなくとも、
損失に落とせる方法はありますので、
今後の参考にしてください。
●編 集 後 記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
25日の陸上の日本選手権では、
男子100メートルでケンブリッジ飛鳥が優勝!
名前が漫画の主人公のようですね。
桐生と山縣の一騎打ちと思いきや。。。
最後のまくりがすごかったです。
でも、なかなか9秒台は出ませんね~
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