タワーマンション節税、国税庁の見解(2015年11月17日)
2015年11月17日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン vol.258 2015年11月17日配信●
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─┌─────┐このメールマガジンは、税金に関する様々な情報をまとめて、
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・ご挨拶……………………………… 経営者向けのセミナーの講師をします
・特集…………………………………タワマン節税が問題になりそうです
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメールマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。
12月8日(火)に経営者向けの「節税セミナー」の講師をします。
http://jmcasemi.jp/seminar/seminar.php?CONTENT_ID=1004
ほぼ1年ぶりとなりますが、
いつも出席者は100人くらいと大盛況のセミナーです。
録音なしなので、割と自由に話すのが良いようです。(笑
実際の節税事例や最新情報を交えて、
経営者にわかりやすく説明します。
ご興味ある方はぜひお申し込みください。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○
さて、今回は「タワーマンション節税、国税庁の見解」です。
タワーマンションの購入は、
相続税の大きな節税になります。
特に高層階は販売価格は高いものの、
評価方法は低層階と同じとなるため、
節税効果は高くなります。
実際に計算すると、
1億円のマンションの相続税評価額が、
3,000万円程度と30%くらいに、
評価が落ちることがよくあります。
これは相続税の計算方法にしたがっていますので、
原則としてまったく問題ないものです。
ただし、最近は節税を第一の目的として、
タワーマンションの販売をしているケースが、
よく見受けられます。
行き過ぎた「節税商品」のようになっているため、
国税庁も目を光らせ始めています。
10月29日に記者発表がありました。
<タワーマンション節税に対する国税庁の見解>
「当庁としては,実質的な租税負担の公平の観点から
看過しがたい事態がある場合には,
これまでも【財産評価基本通達6項】を活用してきたところですが,
今後も,適正な課税の観点から【財産評価基本通達6項】の運用を
行いたいと考えております。」
「財産評価基本通達6項」とは、どういったものでしょうか?
これは以下の内容となっています。
「この通達(=財産評価通達)の定めによって評価することが
著しく不適当と認められる財産の価額は,
国税庁長官の指示を受けて評価する。」
本来は相続税で定められた評価方法で、
評価するのですが、
ケースによってはそれ以外の方法で評価し直して、
納税者の申告内容を否認します、ということです。
国税庁は、タワーマンションの評価方法そのものを、
変えるとは現状では言っていません。
「看過しがたい事態」
つまり、行き過ぎたケースについては、
国税庁長官の指示を受けて適正に評価する、ということです。
売れ行き好調のタワーマンションについて、
相続税の評価方法を一律に変えてしまって、
売れ行きが落ちては、景気が減速してしまいます。
あくまでも「個別に判断していきますよ」ということです。
それでは具体的にどういったケースが、
「看過しがたい事態」となるのでしょうか?
1つは、国税庁がおこなったサンプル調査が参考になります。
タワーマンション(20階建て以上)について、
(1)譲渡所得の申告での実際の売却価格
(2)上記の相続税評価額
平成23年~25年分の343件の譲渡所得について調べました。
(1)は(2)の平均で3.04倍、
最大で6.93倍となっています。
これにもとづき、一定の倍率を上限とする考え方です。
倍率が高いということは、
その分財産の圧縮割合が大きいことになりますので、
一定の倍率(たとえば5倍とか7倍とか)
以上は認めないとすることが考えられます。
ただし、何倍以上が妥当なのか?
節税をまったく意図していなくて、
たまたま大きな評価減が取れた場合についても、
否認することは不合理なように思われます。
よって、実際の運用はなかなかむずかしいように思います。
もう1つは、相続直前にタワーマンションを購入して、
相続税の評価額を大幅に圧縮して相続税申告をおこない、
相続直後に売却するケースに対する規制です。
これは、以前のメールマガジンでも取り上げましたが、
マンションの評価方法について否認された事例として、
(1)平成23年7月1日の国税不服審判所の裁決例
(2)平成5年10月28日の最高裁判所の判例、があります。
http://www.ochiaikaikei.com/mlmg/201410281056_1026.html
いずれも、ほぼ同じ流れです。
○ 入院中の親名義でマンションを購入し、
○ その数ヶ月後に相続が発生、約20%で評価
○ 相続の翌年にほぼ購入価格程度で売却
いずれも国税側が否認して、納税者側が全面的に負けています。
国税側の考え方は以下のとおりです。
○ 不動産の評価は原則として評価通達(路線価などによる評価)によるが、
特別の事情がある場合は他の評価方法によることが許される。
○ 不動産が一種の(金融)商品のような形となっており、
購入価額で評価すべきである。
今後も同様なケースには、厳しく否認することが考えられます。
また、亡くなる数ヶ月前の購入の場合、
本当に本人の意思があったどうかも厳しく見られます。
契約書の氏名欄には、印字ではなく、
本人の自筆のサインは最低必要です。
今後のタワーマンション購入時の注意点は以下となります。
(1)購入時は本人の意思確認は最低必要
→売買契約書には本人のサインをする。
(2)相続後にすぐに売却は絶対にダメ
→売却する場合でも最低3年以上は空けることがよい。
3年はあくまでも私見ですが、
税法では一定の期間を3年とするケースが多くあります。
(3)年末の税制改正大綱の動きにも注目する
→今回の国税庁の見解を受けて改正の可能性あり。
タワーマンションの購入は
相続税の節税「だけ」を目的としないことが、
とても大切なことです。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o
今日はサッカーのワールドカップ予選、カンボジア戦です。
最近はサッカーの盛り上がりは今ひとつです。
あのラグビーのワールドカップの活躍の後で見ると、
「それくらいで倒れるなよ」と言いたくなります。
まだ最終予選もありますので、
先を見すえて、すっきり勝ってほしいですね。
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