空き室の評価減はどこまで認められるか?(2015年6月23日)
2015年6月23日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン vol.238 2015年06月23日配信●
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・ご挨拶………………………………今日から2日間研修講師です
・特集…………………………………空き室の評価減は認められるでしょうか?
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメールマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。
今日から2日間、東大和市にある中小企業大学校で、
研修の講師をおこないます。
生徒の皆さんは、中小企業の若い後継者の人たちです。
事務所のスタッフ1名を連れて、
丸2日間、相続税の仕組み、事業承継税制の講義となります。
さあ、がんばるぞ~
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○
さて、今回は「空き室の評価減はどこまで認められるか?」です。
相続対策で賃貸物件を建築することはよくありますが、
空き室が増えてくると頭が痛いですね。
毎月の家賃収入が減りますので、
特に借入金で建てている場合には、
毎月の資金繰りがきびしくなります。
その時点で相続を向かえると、
本来は評価減が取れる土地、建物について、
その部分は評価減が取れなくなります。
評価減の割合は、
○ 土地・・・約20%減
○ 建物・・・30%減。となります。
土地の評価減は、
その地域の借地権割合により異なりますが、
都市部では18%減額ないし、
21%減額となる地域が多いです。
土地については、
200m2までは「小規模宅地の特例」が使えますので、
さらに50%減額が取れます。
この特例はマイホームの敷地などと選択になりますが、
適用できるケースは意外に多いです。
たとえば、1億円の評価額の土地が、
○ 1億円 ×(1-21%)=7,900万円
○ 7,900万円 ×(1-50%)=3,950万円
と、4割以下の評価額になります。
空き室部分については、
これらの減額がまったく取れなくなりますから、
その差は大きいですね。
10室を貸しているアパートで、
うち2室が空きの場合は、
20%(=2室/10室)について、
減額が取れないことになります。
そうはいっても、
何年もの間ずっと貸し付けていて、
相続の時点でたまたま空き室ということもあります。
それを厳密にダメというのもかわいそうですので、
「一時的な」空き室であれば、
その部分も賃貸していたものとして計算してよい、
という税の取扱いになっています。
となると「一時的」とは具体的に、
どういった状態をいうのか?
どのくらいの期間をいうのか?
ということになります。
これは国税庁のホームページに記載があり、
○ 相続前に継続的に賃貸されていたか
○ 退去後に募集がおこなわれていたか
○ 空き室の期間が1ヵ月程度か
○ 相続後の賃貸が一時的なものでないか
こういった事実から総合的に判断する、となっています。
期間については「1ヵ月程度」と記載されています。
「1ヵ月で空きが埋まったら苦労しないよ。。。」
と賃貸オーナーから恨み言が聞こえそうです。
空きの期間については1ヵ月といわず、
半年くらいは認めてもらいたいところですが、
これについて、次のような裁決事例があります。
(平成20年6月12日裁決)
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<状況>
○ 相続時点で20室のうち4室が空き室
○ 空き室期間は2ヵ月~1年11ヵ月
<審判所の判断>
○ 空き室について速やかに不動産業者に、
入居募集の依頼をおこなっていること
○ 定期的に補修をおこなっていること
○ 近隣周辺には賃貸物件がかなり多く、
空き室がすぐに埋まるような状態ではなかったこと
○ 間取りが20室すべて同じで駐車スペースもあること
上記により、一時的に空き室になっていると認められ、
土地及び建物の全体について評価減をおこなうのが妥当である。
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これは納税者の主張が認められた事例ですね。
一方で納税者の主張がまったく認められなかった
次のような裁決事例もあります。
(平成26年4月18日裁決)
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<状況>
○ 空き室期間は4ヵ月~8年
<審判所の判断>
○ 相続開始日から約4年経過した時点で、
いまだに賃貸されていない空き室が複数ある
○ 相続直後に賃貸借契約が結ばれているものも、
8ヵ月は空き室であったこと
上記により、一時的に賃貸されていなかったとする
理由にならず、評価減は認められない。
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こちらは納税者の主張がまったく認められていません。
期間の長さが大きな理由でしょうが、
納税者が審判所に書類を提出した4年後でも、
空き室が数件あることも否認の理由と思われます。
さて、実際に相続が発生しそうな場合で、
空き室が数室あるときにはどうしたらよいでしょうか?
まず、空きになった時点でクロスの張替などを、
速やかにおこない、募集をおこなうことは最低必要でしょう。
その後に相続がおこったら、申告書には、
○ 募集のチラシやネットでの募集広告
○ その後の賃貸借契約書のコピー
こういった状況証拠を添付する必要があります。
結局のところ、
「一時的」がどれくらいかは悩ましいところですが、
うちの事務所の過去の申告事例では、
半年~1年くらいの空きなら上記の資料をつけて、
申告をおこなって否認されたことはありません。
空きが出やすい物件であれば、
サブリース会社への一括賃貸は有効ですね。
仮に、サブリース会社に空きが出ても、
こちらはあくまでもサブリース会社に賃貸しているので、
評価減が問題なく取れることになります。
自分がオーナーの不動産管理会社に、
同様にサブリースすることでもかまいません。
この場合は不動産管理会社への管理料は、
民間の会社と同レベルにする必要があります。
賃貸物件については、
将来の相続税対策を考えて、
今から整備をしておくことが必要です。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o
日曜日は、東京駅のベットのお店へ。
普段ふとん代わりに使っているマットが、
かなりへたってきており、
その代わりのものを見に行きました。
「ひとまず横になってみたらどうですか?」
きれいなお姉さんにそう言われると断れませんよね。
気づいたときは、マットとまくらを買っていました。。。(笑)
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