副業収入、帳簿保存で事業所得(2022年10月17日)
2022年10月17日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン
vol.542 2022年10月17日配信●
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・ご挨拶……… やっと秋らしくなってきました
・特集………… 副業収入の改正案が大幅に修正されました
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
やっと秋らしくなってきました。
関東ではしばらく最高気温が20度くらいで、
そろそろ衣替えの季節になりそうですね。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
さて、今回は「副業収入、帳簿保存で事業所得」です。
以前メールマガジンで取り上げた
副業収入の所得区分の改正案ですが、
当初の改正案から大幅に修正された形で、
国税庁より10月7日に通達が発表されました。
記帳・帳簿書類の保存あれば、
基本的に「事業所得」としてOK、
ということになりました。
以下、詳しく解説をしていきます。
以前のメールマガジンは次のとおりです。
https://www.ochiaikaikei.com/mlmg/202208291045_2382.html
当初の国税庁の改正案では、
以下は原則として「雑所得」に該当でした。
(1)主たる所得でない(=副業収入)
(2)かつ、収入金額が300万円以下
副業収入が300万円以下の場合は、
原則として「雑所得」に該当することになり、
令和4年の所得税から適用される予定でした。
「事業所得」での申告はダメということでした。
事業所得のおもなメリットは次のとおりです。
○ 黒字の場合は最大65万円控除が可能
○ 赤字の場合は給与所得等との損益通算が可能
副業収入を事業所得として申告すれば、
○ 黒字の場合でも、
○ 赤字の場合でも、
所得税の節税が見込めることになりますが、
当初案の年収300万円以下で適用不可なら、
適用できない人が激増すると予想されました。
国税庁はこの改正通達を制定するにあたり、
パブリック・コメント制度により、
国民に意見を募りました。
8月1日から31日の募集期間には、
7,059もの意見が寄せられました。
パブリック・コメント制度は、
国が政令や省令、通達などを定めるときに、
事前に国民の意見、情報を募集する制度で、
平成17年6月より導入されています。
通常は意見がほとんど寄せられません。
最近の1,000件を調べてみると、
1,000以上の意見があったのは、
わずか5件だけとなっています。
さらに、3,000以上の意見は、
この副業収入のみとなっています。
ユーチューブなどで取り上げられたことで、
たくさんの意見が寄せられたようです。
「副業を推進する政府の方針に逆行する。」
「300万円の根拠が不明である。」
「300万円の基準は大きすぎる。」
「真面目に記帳すれば事業所得で良い。」
これらの意見が寄せられたことで、
最終的に300万円基準はなくなりました。
意見を寄せた人の年齢層は発表されませんが、
内容から若い世代の意見が多かったと思います。
皆の力で国税庁を動かすこともできるのですね。
最終的に以下の改正内容になりました。
○ 記帳・帳簿書類の保存あり
→ 基本的に「事業所得」でOK
○ 記帳・帳簿書類の保存なし
→ 収入300万円超は社会通念で判断
→ 収入300万円以下は「雑所得」
記帳をして帳簿書類の保存があれば、
基本的に「事業所得」となります。
収入金額は関係なしということですね。
一方で帳簿書類が保存してあっても、
(1)収入金額が僅少と認められる場合
(2)営利性が認められない場合
これらは「雑所得」となります。
(1)収入金額が僅少と認められる場合
おおむね3年程度、収入300万円以下で、
かつ主たる収入の10%未満の場合が該当します。
(2)営利性が認められない場合
おおむね3年程度赤字が続いており、
赤字の解消に取り組んでいない場合が該当します。
この2点はさりげなく文章で明示されました。
これまで法律や通達などで記載されなかった
金額の基準が新たにできたことになります。
3年続いている場合が前提ですが、
○ 主たる収入の10%未満
○ 赤字が継続
いずれも「雑所得」扱いとなります。
雑誌やネットで紹介された節税スキーム、
事業所得であえて赤字で申告して、
給与所得と通算して所得税を還付、
これが今回の改正でシャットアウトされた、
という見方もできますね。
300万円の金額基準が撤廃されて、
副業収入がある人は一安心ですが、
赤字が続いて改善の取組みをしていないと、
雑所得扱いで赤字の計上はダメ、
とならないように要注意ですね。
最後にこれから副業を始める人の注意点です。
以下の届出書を税務署に提出をしてください。
○ 個人事業の開業届出書(1ヵ月以内)
○ 青色申告承認申請書(2ヵ月以内)
青色申告承認申請書の提出がないと、
最大65万円の青色申告特別控除が、
まったく取れなくなってしまいます。
○○さんがこれから副業を始めるなら、
出し忘れがないよう十分注意をしてください。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
食欲の秋、サンマが美味しい季節になりました。
DHAやEPAなどの栄養も多く健康にも良いですね。
DHAは血管の弾力を高める効果が、
EPAは血流をよくする効果があります。
今年は記録的な不漁ということですが、
スーパーにはたくさん並んでいて安心しました。
ただまだ少し身が痩せている感じですね。
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