所得拡大投資促進税制の改正(2022年1月11日)
2022年1月12日
2022年1月12日
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン
vol.526 2022年01月11日配信●
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
─ このメールマガジンは、税金に関する情報をまとめて、
─ 毎週配信しています。
─ お知り合いの方にも、ご紹介いただけると幸いです。
http://www.ochiaikaikei.com/
_/_/_/ I N D E X _/_/__/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
・ご挨拶……… 本年もよろしくお願いいたします
・特集………… 賃上げ税制の注意点と準備することは?
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
本年もよろしくお願いいたします。
年明けて感染者が増えてきました。
重症化リスクは低くなっているようで、
広まった後に収まってくれると良いですね。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
さて、今回は「所得拡大投資促進税制の改正」です。
所得拡大投資促進税制(=賃上げ税制)の改正は、
令和4年度税制改正大綱の目玉となっています。
税制改正の概要は以下をご参照ください。
https://www.ochiaikaikei.com/mlmg/202112151019_2329.html
中小企業の場合、雇用者給与の増加額に対して、
現状の最大25%の控除率が、
改正後は最大40%の控除率となります。
その分支払う法人税が少なくなります。
一見大きな減税のように見えますが、
このメリットを最大限に使える会社は、
実はそれほど多くはありません。
その理由は以下の3点です。
(1)納税している会社が前提
(2)オーナーとその親族は対象外
(3)法人税額の20%が上限
(1)納税している会社が前提
赤字の会社はそもそも対象外となります。
また、黒字の会社でも繰越欠損金があると、
欠損金と相殺して納税があまりないことが多いです。
あくまでも税制の特例ですので、
現金が支給されるわけではありません。
致し方ないことですが、
あまり過度な期待をしないほうが良いですね。
(2)オーナーとその親族は対象外
給与の増額計算の対象となるのは、
社員やパート、アルバイトへの給料・賞与です。
オーナー社長やその親族は対象外です。
役員と社員すべてが同族関係者の会社では、
いくら給料を上げたところで、
残念ながら減税の対象にはなりません。
(3)法人税額の20%が上限
黒字の会社ががんばって昇給をして、
さらに研修費を増額したとしても、
増加額の40%の税額控除が、
必ず取れるわけではありません。
その期で納める法人税額の20%が、
上限となっているからです。
上限を超える金額は減税の対象外となります。
さて、次にどれくらい減税となるか、
実際に事例で見てみましょう。
《前提条件》
○ 令和5年3月期の決算
○ 資本金5,000万円
○ 黒字で繰越欠損金なし
○ 前期より雇用者給与増加額・・・200万円
○ 前期より雇用者給与増加率・・・5%
○ 課税所得・・・1,000万円
○ 前期より研修費の増加率・・・15%
《減税額の計算》
○ 法人税額・・・166万4,000円
○ 税額控除額・・・200万円×40%=80万円
● 上限額・・・166万4,000円×20%=33万2,800円
○ 実際の税額控除額・・・33万2,800円
この前提条件で80万円の全額を控除するためには、
課税所得は2,007万円以上が必要となります。
さらに、この前提条件であれば、
改正前の現状の制度で計算しても、
税額控除額は33万2,800円で変わりません。
改正のメリットはまったく受けられませんね。
今後におこなわれる税制改正では、
上記●の法人税20%が上限の規定を、
一気に30%や40%に広げるような
思い切った改正をしてほしいですね。
個人的には、今回の改正は、
実務経験が浅い内閣の面々が、
役人たちにうまく丸め込まれた感がします。
最後に○○さんの会社で、
今から準備することは以下となります。
(1)昇給と減税額の試算をする
(2)教育訓練費(=研修費)の増額をする
(3)決算賞与の支給も一法
まずは、今後の昇給と減税額について、
あらかじめ試算をしておくことです。
あまり大きな期待を持たずに、
「多少は減税になるな。。。」
くらいの気持ちでいることが良いと思います。
そうはいっても、
意外に利益が多額となることもあるでしょうから、
前期より教育訓練費(=研修費)を、
10%以上多く使っておくことが無難です。
さらに、利益が多く出る期は、
決算賞与を追加支給することも手です。
期末までに支払うことが良いのですが、
期末までに支給額明細を各社員に配布して、
期末から1ヵ月以内に実際に支給する、
この方法でもぎりぎりOKです。
さて、残念ながら今回の改正の通り計算しても、
大きな減税となるケースは少ないようですが、
決算では忘れずに適用するようにしてください。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
先週6日(木)は東京でも雪が積もりました。
この冬はラニーニャ現象の影響により寒さが厳しくなり、
1月後半にまた雪が降る可能性があるようです。
雪は降っているときは風情がありますが、
翌日道路が凍るのがいやですね。
今回は幸いこけることはありませんでしたが。。。
次回の雪でも気をつけたいですね。
■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■
————————————————————-
落合会計事務所
税理士 落合 孝裕
所在:東京都世田谷区用賀4-5-16 TEビル2階
(平成27年9月より移転しています。)
電話:03-5716-6528
○顧問契約、単発の相談のお問い合わせは
http://www.ochiaikaikei.com/
————————————————————-
「税理士が教えるとっておきの税金情報」
発行者:落合会計事務所