居住用財産の特別控除、否認事例(2020年9月2日)
2020年9月2日
2020年9月2日
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン
vol.482 2020年09月02日配信●
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
─ このメールマガジンは、税金に関する情報をまとめて、
─ 毎週配信しています。
─ お知り合いの方にも、ご紹介いただけると幸いです。
http://www.ochiaikaikei.com/
_/_/_/ I N D E X _/_/__/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
・ご挨拶……… いよいよ9月になりました
・特集………… 3千万円控除が否認された最近の事例です
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いよいよ9月になりました。
昨日は過ごしやすい1日でしたが、
まだまだ残暑が厳しい日が続きそうです。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
さて今回は、「居住用財産の特別控除、否認事例」です。
親に相続が起きると、
○ 遺産分割
○ 相続税の申告
これらにかなりの時間と労力がかかります。
一人暮らしの親の相続の場合は、
次に親の家をどうするか考えることになります。
子どもたちが結婚して皆マンション住まいなら、
引っ越して住むこともないとなるでしょう。
親から相続で引き継いだ古い家を、
数年後に売却するケースが増えています。
譲渡所得の計算での取得価額は、
親が買ったときの安い価額を引き継ぎます。
となると、売却による利益がかなり発生して、
数千万円の譲渡税を支払うこともあります。
引き継いだ親の家に住んでから売却すれば、
マイホームの3,000万円控除の特例、
これを適用することができます。
仮に3,000万円控除を満額使うと、
3,000万円×20.315%(譲渡税率)
= 609万4,500円
これが節税額ですが、大きなメリットですね。
そこで実際に住んでいなくても、
「住民票を移してから売ればいいでしょう」
形式だけを整えて特例を使う人がいますが、
税務調査で否認されることになります。
以前のメルマガでも否認事例を取り上げましたが、
https://www.ochiaikaikei.com/mlmg/202007141430_2179.html
最近の裁決(非公開)でも否認された事例があります。
(以下の裁決部分は「国税速報」第6622号をもとに作成)
《令和元年11月12日裁決》
【概 要】
○ Aは父の相続で甲家屋及び敷地を取得
○ 平成15年11月に結婚
○ 平成16年3月に妻と近隣にマンションを購入
○ 平成28年3月29日に家族で甲家屋に住民票を異動
○ 同年6月24日に甲家屋及び敷地の売買契約書を締結
○ 同年10月28日に甲家屋及び敷地を買主に引渡し
○ 同年10月30日に家族でマンションに住民票を戻した
○ 平成28年分の確定申告で、
居住用の3千万円控除及び軽減税率の特例を適用
○ 税務署は平成30年4月27日に、
特例の適用を否認する更正処分をした
【国税不服審判所の判断】
<甲家屋の利用状況>
○ Aが甲家屋に居住していたとする
平成25年1月から平成28年11月までの
水道光熱費の利用状況は以下の通り
○ 電気の利用料は、最大月でも全国平均の2割以下
○ 水道は使用実績が9ヵ月のみ
○ ガスは使用実績がまったくなし
○ さらに新聞の配達もなし
○ 風呂及び洗濯機は壊れたままの状態
<購入したマンションの利用状況>
○ マンションでは水道光熱費の使用実績があり
○ うち電気の利用料は平均と同程度かそれ以上
○ 甲家屋を売却した前後で使用量に変化なし
○ 新聞の配達もあり
上記より、Aは平成25年から売却までの期間、
甲家屋を生活の拠点としていたとは認められない。
よって、特例を適用することはできない。
-------------------------------
事例では住民票を平成28年に2度動かしています。
○ 3月にマンションから甲家屋に移す
○ 6月に家の売買契約
○ 10月に家を引渡し
○ 10月に家からマンションに戻す
3千万円控除の特例を適用して申告する場合、
住民票を税務署に提出する必要があります。
「この住民票の動きは怪しい。。。」
税務署内のチェックでまず区分けされますね。
税務署の調査で特例の適用が否認されると、
その後納税者が審判所に持ち込んでも、
まずひっくり返すことはできません。
そのときに否認される根拠として、
○ 水道光熱費の利用状況
○ 新聞の配達状況
○ 風呂や洗濯機の状況
こういう点が徹底的に調べられます。
では、○○さんが将来引き継いだ自宅を売却するとき、
事例のAさんのように否認されないためには、
どうすれば良いでしょうか?
(1)実際に住んでから売るべき
(2)空き家の3千万円控除を考慮すべき
まずは実際に住むべきです。
住民票を移すだけではダメです。
リフォームにお金がかかるでしょうが、
特例を使うことのメリットとの、
損得で判断すべきことになります。
家族全員が引っ越す必要もありません。
○○さん一人で住むことでもかまいません。
最近増加している「熟年離婚」「コロナ離婚」。
これは夫婦でずっと一緒だからいやになるので、
別居ならこういうリスクも回避できます(苦笑い)。
「何年くらい住んでから売ればいいですか?」
これはあくまでも私見ですが、
3年住んでから売れば問題ないでしょう。
数ヶ月の売却は避けた方がいいですね。
さらに「空き家の3千万円控除の特例」、
これは相続で引き継いだ古い家を、
取り壊してから売却すれば、
一定要件で3千万円の控除できる特例です。
可能であればこちらの適用も考えてください。
さて、親から引き継いだ家を売ることは、
これからも増えていくことでしょう。
特別控除の特例を使うときは、
あくまでも適正に使うようにしてください。
●編集後記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
秋の味覚、サンマが今年は大不漁です。
スーパーでは1匹500円くらいで売られています。
これでは家族で一匹を分けて食べるようです。
毎年楽しみな大戸屋の「さんま炭火焼き定食」
今年は販売が遅れており、とても残念ですね。
■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■
————————————————————-
落合会計事務所
税理士 落合 孝裕
所在:東京都世田谷区用賀4-5-16 TEビル2階
(平成27年9月より移転しています。)
電話:03-5716-6528
○顧問契約、単発の相談のお問い合わせは
http://www.ochiaikaikei.com/
————————————————————-
「税理士が教えるとっておきの税金情報」
発行者:落合会計事務所