期末棚卸の評価方法、最終仕入原価法(2017年8月15日)
2017年8月15日
2017年8月15日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン
vol.338 2017年08月15日配信●
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・ご挨拶………リレーと競歩でがんばりました
・特集…………在庫の計算方法の問題です
●ご挨拶○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
世界陸上は最後に盛り上がりましたね。
リレーと競歩でメダルを獲得。
競歩を見るのはオリンピック以来ですが、
50キロ歩き切るのは大変ですね。
元気づけられました。
●特集○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
さて今回は、「期末棚卸の評価方法、最終仕入原価法」です。
会社の決算をまとめるにあたり、
必ずおこなうべきことの一つに、
期末の在庫(=期末棚卸高)を計算することがあります。
決算期末に残っているすべての在庫について、
その数量を調べて、仕入単価を掛けて計算します。
たとえば、
○ A商品・・・100個×500円=50,000円
○ B商品・・・300個×300円=90,000円
といったように計算します。
3月決算の会社を前提に以下説明します。
新たに仕入れを始めたA商品について、
3月中に次のように仕入れたとします。
○ 3月25日・・・50個×600円 = 30,000円
○ 3月30日・・・50個×500円 = 25,000円
決算時にすべてが在庫で残っていたとすると、
仕入代金の合計は、55,000円となります。
ところが実際の在庫の計算は、
最終に仕入れた3月30日の単価の500円を、
すべての在庫に掛けて計算します。
100個×500円=50,000円、となります。
これは「最終仕入原価法」という計算方法です。
○○さんの会社が税務署に、
「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出して、
他の評価方法を選んでない限り、
この「最終仕入原価法」で計算します。
この計算の仕組みがわかっていれば、
次のような対策をすることができます。
仕入単価が上がっているときは、
期末ぎりぎりに商品を仕入れてしまうと、
高い単価を在庫のすべてに適用されますので、
あえて期末に仕入れずに翌期になってから、
仕入れることが得策ですね。
一方で、仕入単価が下がっているときは、
期末ぎりぎりに商品を仕入れれば、
低い単価を在庫のすべて適用できますので、
在庫の金額が少なくなり節税になります。
この「最終仕入原価法」に関して、
その適用の是非についての判例があります。
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<平成14年11日20日広島高裁>
【状況】
○ 精米業及び米穀類販売業等を営む3月決算法人
○ 秋田小町1袋の仕入単価(平成6年)
1~2月・・・・・1万4,700円~1万5,750円
3月28日・・・2万8,000円【最終仕入単価】
4月・・・・・・・・・1万2,176円~1万2,476円
○ こしひかり1袋の仕入単価(平成6年)
1~2月・・・・・1万4,700円~2万2,750円
3月23日・・・2万6,825円【最終仕入単価】
4月・・・・・・・・・1万2,362円~1万2,662円
【裁判所の判断】
以下の理由により、
最終仕入単価で期末棚卸資産を評価すべきである。
「最終仕入原価法は、棚卸資産の仕入れ実額を反映しない
こともあり得るが、便宜かつ簡易であるとして選択肢の
一つとして法定されているのであり、納税事業者は、
この方式を選択した以上は、法令で定められた手続を
とることもなしに、個別の仕入れ原価がたまたま
資産評価に都合が悪いからといってその適用に例外を
求めることはできない。」
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会社が届出書を提出していない限り、
「最終仕入原価法」を選択したことになります。
一時的に期末の仕入単価がいくら高くなっても、
問答無用でこの方法で評価することになります。
さて、決算期末にかけて仕入単価が急騰した場合は、
どうしたらよいでしょうか?
(1)あえて仕入れをしない
(2)仕入業者に単価交渉をする
(3)決算期変更をおこなう
こういった方法が考えられます。
在庫数量がぎりぎり間に合うのであれば、
あえて仕入れないことです。
これは社内で徹底すべきでしょう。
単価交渉は租税回避行為(=税金のがれ)と、
税務調査で指摘される恐れもありますが、
商売上での交渉をしたと言い張れば良いと思います。
決算期変更は最後の手段ですが、
先のケースであれば2月決算に変更すれば、
2月の仕入単価で決算を組むことができます。
このように、期末在庫の計算方法は、
仮に仕入単価の急変があったとしても、
厳格に守らなくてはならないものです。
軽く考えないことが大切です。
●編 集 後 記○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。
20歳になった長男と初めて2人で一杯飲みに行きました。
それほど会話も盛り上がらずに、
あっさりした飲み会でしたが、
まあそれでも楽しいものですね。
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