相続時精算課税の事業承継への活用(2012年10月9日)
2012年10月9日
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●落合会計事務所 オフィシャルメールマガジン vol.103 2012年10月09日配信●
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・ご挨拶……………………………… 運動会ではケガにくれぐれもご注意を
・特集………………………………… 相続税が50分の1になる方法があります
・編集後記…………………………… 社員研修は基礎を徹底的に
● ご 挨 拶 ○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○
○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメールマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。
小中学校の運動会は、最近は春におこなうケースが増えていますが、
秋におこなう学校では、昨日までの3連休と週末がピークのようです。
そこで意外に多いのがお父さんのケガ。。。
むかしの感覚で猛ダッシュをして、足を痛める話をよく聞きます。
入念な準備運動と、年齢に応じて無理しすぎないことがポイントですね(笑)
● 特 集 ○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○○o。
今日のテーマは「相続時精算課税の事業承継への活用」です。
「相続時精算課税」とは、
○ 親(65歳以上)から子ども(20歳以上)への、
○ 2,500万円のまでの贈与については、
○ 贈与税がかからず、
○ 将来の相続税に持ち戻して相続税がかかる、
制度です。
贈与した時点では贈与税はかからないものの、
将来の相続税では税金の対象となります。
昨年のメールマガジンでも取り上げていますので
制度の細かい取扱いはこちらをご覧ください。
http://www.ochiaikaikei.com/mlmg/201110111427_269.html
最近、顧問先の社長さんに勧めているのが、
この制度を社長から後継者への「事業承継」に活用することです。
後継者は社長の息子さんであることが多くなっています。
「事業」を「承継」するとは、
○ 社長を交代すること、
○ 株式を引き継ぎこと、
と「形式的」には2つのことをおこなう必要があります。
もちろん「実質的」な事業承継とは、
現社長と同じレベルの仕事ができるようになることで、
これが大変なことで苦労する後継者がとても多いのですが、
今日は「形式的」なお話に限って進めていきます。
1つ目の社長の交代は、
取締役会や株主総会で決めればよいことになっています。
中小企業の場合は役員と株主いずれも親族で固めていることが多いため、
社長がその気になりさえすれば、すんなり決まります。
問題は、2つ目の株式を引き継ぐことです。
これは生前におこなえば、多額の贈与税がかかります。
相続まで持っていると、贈与税より安いものの今度は相続税がかかります。
そこで活用したいのが「相続時精算課税」です。
将来の相続税で持ち戻して相続税がかかる、ことになっていますが、
これは【贈与時の時価】で持ち戻すことがポイントです。
中小企業の株式の相続税、贈与税の評価方法は、
(1) 会社の解散時の価額(純資産価額)
(2) 上場会社の株価に比準して計算する価額(類似業種比準価額)
この2つの評価額を、会社の規模に応じて
組み合わせて評価することになっています。
リーマンショックの後では、
業績が芳しくなく赤字になっている会社がたくさんあります。
さらに、上場会社の株価も下がったままです。
よって、(2)の「類似業種比準価額」が大幅に下がっている会社が多いのです。
場合によっては、リーマン前の10分の1の評価額となるケースさえあります。
その安くなったタイミングで「相続時精算課税」を使って、
社長から後継者に株式のすべてを贈与するのです。
将来の相続では仮に株価が元にもどっても、
あくまでも安かった【贈与時の時価】で持ち戻せば良いのです。
実際に試算してみると、こういった事例がありました。
○ 相続まで社長が全株を持っていると相続税は6,000万円
○ 相続時精算課税を使って贈与して相続で持ち戻すと120万円
と50倍の差があることがわかり、
さっそく精算課税を使って、社長から専務である息子さんへ全株を贈与しました。
もう一つ活用してほしいのが【土地】や【株】をたくさん持っている会社です。
土地や株をたくさん持っていると、株式の評価額は通常の計算より高くなります。
たとえば社員が100人以上では、
○ 土地の割合が70%以上
○ 株の割合が25%以上
持っていると、通常の計算より評価額がはるかに高くなります。
それぞれの割合を計算するときの評価方法は、
土地は路線価、株なら相場での評価となります。
いずれも今は下がっていますので、
以前はこの70%、25%のラインを超えていた会社が、
たまたまラインを下回っていることがあるのです。
顧問税理士も以前のバブルのころに評価した感覚で話しがちです。
「相続が起こったら莫大な相続税になりますよ」
と税理士からあおられて心配になった方が、
うちの事務所に相談にいらっしゃいました。
実際に試算してみると、
土地の割合がぎりぎり70%を下回っていることがわかり、
すぐに「相続時精算課税」で全株を後継者に贈与してもらいました。
70%を上回ったときと比べると、
わずか10分の1の納税ですみました。
このように、会社の株価の試算をまずおこなうことが大切です。
残念なことに、このチャンスを活用していない会社がとても多いのです。
○○さんの会社も、特にリーマン後の株価の試算がまだであれば、
大至急おこなってみてください。
今回のお話のように、相続税が大幅に少なくなることがありますので。
● 編 集 後 記 ○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。
○○さんの会社では社員の研修はどうしていますか?
落合会計事務所では、ほぼ毎日朝礼後の8時15分~9時まで、
研修をおこなっています。
最近力を入れているのが、税務の質問をしていく研修です。
社員にかんたんな質問を順に出し「税務手帳」を見ながら答えさせます。
いわば辞書を見ながらテストを受けるようなものですが、
実務ではこれで十分と考えています。
スピードを上げて答えることを目的としています。
徐々に社員の力が付いてきました。
「研修は基礎を徹底的に」が、16年間事務所経営をしての結論ですね。
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