養子縁組のタイミングと相続税のポイント(2011年12月13日)
2011年12月13日
2011年12月13日
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○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメールマガジンをお読みいただき、
ありがとうございます。
先週から忘年会続きですね。
私はマイカーを持たないので、よくタクシーに乗ります。
タクシーの運転手さんに、
「忘年会で忙しいですか?」と声を掛けると、
「お客さん!今週の金曜、土曜がピークですよ~」
と皆さん気合いが入っていますね(笑)
さて、今回は「養子縁組のタイミング」についてです。
養子縁組は、相続対策を目的に使うことがよくあります。
夫婦に子どもがいない場合で、
夫の相続が間近なときに、
○夫が生きているうちに養子縁組する、
○夫の相続が起こってから養子縁組する、
それぞれで、
相続税はどう変わるかを考えてみます。
実際にあったケースです。
(守秘義務があるので内容は変えてあります)
前提条件は次のとおりです。
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○夫婦に子どもがなし
○夫の両親はすでに他界、兄弟もなし(一人っ子)
○夫の財産は5億円で、
→都内に200坪の自宅敷地が4億円
→金融資産が1億円
○妻の弟の長男(おい)とその妻を、
夫婦養子にすることを考えている
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このように、
子ども、両親、兄弟いずれもなしで、
相続人が妻1人だけの場合は、
民法で決められた妻の相続分(=法定相続分)は、
100%となります。
相続税の場合、
妻が引き継いだ財産のうち、
法定相続分までは相続税はかからない、
つまり、税金を支払わなくてよい、
という規定があります。
ちょっと意外ですが、
相続人が妻1人の場合は、
夫の残した財産を妻がすべて引き継げば、
たとえ10億円あろうと、
妻が支払う相続税はゼロなのです。
相続人のパターン別に、
妻の法定相続分は、
以下のようになっています。
(1)妻と子ども → 1/2(50%)
(2)妻と親 → 2/3(66.7%)
(3)妻と夫の兄弟姉妹 → 3/4(75%)
(4)妻のみ → 1/1(100%)
妻が相続で引き継いだ財産のうち、
それぞれの割合までは相続税はかかりません。
さて、話をもとに戻して、
最初にケースで、
養子縁組のタイミングで、相続税はどう変わるか?
を考えています。
【対策1(生前に養子縁組)】
財産5億円で、
おい夫婦と、夫の生前に養子縁組をすれば、
上記(1)のパターンになります。
妻が財産の1/2を引き継いだとして、
おい夫婦が、相続税を5,850万円支払うことになります。
【対策2(相続後に養子縁組)】
おい夫婦と、夫の相続後に養子縁組をすれば、
上記(4)のパターンになります。
これなら相続税はゼロです。
さらに、将来の妻の相続(二次相続)も合わせて、
考える必要があります。
二次相続も計算すると、
相続税は、次のようになります。
【対策1(生前に養子縁組)】
○夫の相続(一次相続)→
養子2人で、
50%(2億5,000万円)の財産を引き継ぐ
・・・5,850万円
○妻の相続(二次相続)
→財産2億5,000万円
・・・4,000万円
○相続税合計・・・9,850万円
【対策2(相続後に養子縁組)】
○夫の相続(一次相続)
・・・0円
○妻の相続(二次相続)
→ 財産5億円
・・・1億3,800万円
○相続税合計・・・1億3,800万円
と計算してみると、
生前に養子縁組をしたほうが有利になる、
という結論になります。
ただし、
妻の相続(二次相続)までは、
通常10~15年はありますので、
この間に相続対策をすることが考えられます。
このケースのように、
200坪の土地に自宅だけなら、
その敷地内に賃貸アパートを建てると、
相続税は大幅に少なくなります。
さらに、手元の預貯金を、
養子やその子ども(孫)に、
生前贈与をすることも節税になります。
と考えて、今回のケースは、
【対策2(相続後に養子縁組)】
としました。
そして、夫の相続後に、
○賃貸アパートを2棟建築
○預貯金を養子と孫に毎年、生前贈与
をおこないました。
さらに、
地価が下落したこともあり、
5億円の評価だった財産が、
3億円の評価になりました。
結局支払った相続税は、
○夫の相続(一次相続)・・・0円
○妻の相続(二次相続)財産【3億円】
・・・5,800万円
○相続税合計・・・5,800万円
となりました。
結論としては、
【対策1(生前に養子縁組)】の、
9,850万円と比べて、
4,000万円くらい相続税が節税となりました。
今回は少し特別なケースかもしれませんが、
二次相続まで時間がある場合は、
その間に相続対策をおこなうことは、
とても大きな節税になります。
相続の増税の改正は、
ひとまず先送りになっていますが、
支払う相続税が現状でどのくらいあるのか?
「相続税の試算」をおこなうことは大切です。
○○さんのご親族でも、
ぜひ一度お考えください。
落合会計事務所では、
ご相談はもとより、
財産評価、相続税対策もおこなっています。
【編集後記】
事務所のベランダから富士山がきれいに見えました。
寒いと空気が澄みますね。
http://ameblo.jp/tochiai65282414/entry-11105575250.html
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税理士 落合 孝裕
所在:東京都世田谷区用賀2-14-11ブリュンヒルデ4階
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発行者:落合会計事務所