平均課税の取扱い(2011年12月6日)
2011年12月6日
2011年12月6日
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○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメールマガジンをお読みいただき、
ありがとうございます。
忘年会の季節になりました。
お忙しいことでしょうが、
飲み過ぎ食べ過ぎに注意しましょうね。
さて、今年の本の年間ベストセラーが発表されました。
TVドラマにもなっている「謎解きはディナーのあとで」です。
1巻が180万2,000部、2巻が93万部、
合わせて273万2,000部です。
すっごいですね~。
ちなみに、TVドラマの執事役は、
嵐の桜井君よりも阿部寛のほうが、
個人的には適役と思いますね。
まあどうでもいいことですが(笑)
今回は、少し趣向を変えて、
「謎解きはディナーのあとで」が売れたあとで、
著者の東川篤哉さんが支払う税金を、
考えてみようと思います。
まず、本の著者がもらう印税の金額ですが、
これは出版社により異なりますが、
本の価格に対して10%が一般的です。
ただし、
○刷り部数に対して、
○実売部数に対して、
と出版社により2通りあります。
「刷り部数」のほうが、
先に印税をもらえますし、
売れる売れないにかかわらずもらえますので、
著者には有利ですね。
以前はこの「刷り部数」に対して、
印税を支払う出版社が多かったのですが、
最近は出版不況を反映して、
半年ごとに「実売部数」を集計して、
印税を支払う出版社が増えています。
出版元の小学館は大手ですので、
「刷り部数」に対して10%の印税を、
支払っていると推定して、
以下計算してみます。
○ 定価・・・1,575円
○ 1、2巻合計の刷り部数・・・273万2,000部
○ 印税率・・・10%
これをすべて掛け合わせると、
4億3,029万円となります!
くらくらしますね(笑)
この金額から経費を引いて、
残りに対して税金がかかります。
作者の東川篤哉さんは会社を作っていないとすると、
個人で支払う税金は、
(1) 消費税
(2) 所得税
(3) 住民税
(4) 事業税
となります。
ただし、
(1)の消費税は、
2年前の売上高が1,000万円未満なら、納税はなし。
→2年前は売れる前なので、今年は納税なしと推定します
(4)の事業税は、
作家の場合は課税の対象とならないので、納税はなし。
となると、支払う税金は、
所得税と住民税になります。
それぞれの税率は、
所得税は、所得1,800万円を超えた部分は40%、
住民税は、均一で10%です。
合わせた税率は【50%】です。
収入4億3,029万円に対して、
仕事がら経費はあまりかからないでしょう。
1,000万円かかったとしても、
差引で所得は、4億2,000万円になります。
ざっとこの半分の2億1,000万円が税金となります。
ただし、作家のように毎年所得の変動が激しい仕事は、
「平均課税」という税金の計算方法があります。
その年に急に増えた所得に対しての
所得税の優遇税制です。
所得を1/5にして計算した税金を、5倍にします。
所得税は、所得が高くなるにつれて、
税率が高くなりますので、
「平均課税」で計算すると、支払う税金は安くなります。
過去2年分の所得をほぼゼロとして計算すると、
○所得税は、1億5,176万円
○住民税は一律10%で、4,200万円
合計で1億9,376万円になります。
それでも2億円近くですね~。
印税は、所得税は源泉徴収されます。
一度の支払いが
○100万円以下は10%、
○100万円を超える部分は20%、です。
よって、「謎解き~」の場合、
ほぼ20%の所得税が天引きされています。
印税の20%で、8,600万円くらい天引きされていて、
残りの約6,600万円を来年の確定申告で納税します。
さらに、住民税の4,200万円は、
6月から4期に分けて納税します。
と、余計なお世話ですが、
ベストセラーを出したあとは、
支払う税金はかなり大変ということになりますね。
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落合会計事務所
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