親から子どもへの建物の贈与(2011年7月19日)
2011年7月19日
2011年7月19日
—————————————————————————————————————————————-
このメールマガジンは、税金に関する様々な情報をまとめて、
毎週火曜日に配信しています。
お知り合いの方にも、ご紹介いただけると幸いです。
http://www.ochiaikaikei.com/
—————————————————————————————————————————————-
○○さん、こんにちは。
今日は3連休明けということで朝6時半に出勤しましたが、
世田谷区の用賀近辺は、すごい雨でしたね。
台風6号の影響で、地域によってかなりの風雨になりそうです。
お気を付けくださいね。
さて、今回は親から子どもへの【所得の移転】についてです。
親の不動産所得が多い場合、
税金の負担はかなりのものになります。
所得税と住民税を合わせた税率は、所得に対して次のとおりです。
○ ~195万円の部分・・・15%
○ 195万円~330万円の部分・・・20%
○ 330万円~695万円の部分・・・30%
○ 695万円~900万円の部分・・・33%
○ 900万円~1,800万円の部分・・・43%
○ 1,800万円~の部分・・・50%
900万円を超えると、税金の負担が大きいですね。
さて、親の所得が大きい場合は、
不動産を【親 → 子どもへ贈与】することが有効です。
贈与した不動産については、
その後は、子どもの所得になるからです。
不動産を贈与すると、
もらった子どもに贈与税がかかります。
土地と建物を合わせて贈与してもかまいませんが、
それでは多額の贈与税がかかってしまいます。
贈与税をあまりかからないようにするためには、
建物のみの贈与とすることがポイントです。
建物さえ持っていれば、
その家賃収入は、その建物を持っている人が
すべて計上することになります。
東京都内などでは、
○ 土地の評価額・・・1億円
○ 建物の評価額・・・500万円これくらい差があることはよくあります。
このケースで、贈与税を見てみましょう
○ 土地と建物を合わせて贈与・・・4,970万円
○ 建物のみの贈与・・・53万円
贈与税では、90倍以上の差がありますが、
いずれでも、
贈与を受けた子どもの家賃収入は変わりません。
こんな古いアパートがあるとします。
○ アパートの評価額・・・500万円
○ 賃貸室数・・・2階×3室=6室
○ 家賃・・・5万円/室
○ 年間の家賃収入・・・360万円
このアパートの建物を、
【親 → 子どもへ贈与】するとします。
子どもは、贈与税を53万円支払って、
毎年360万円の家賃収入を、
受け取ることができるのです。
つまり、
安い贈与税で、親から子どもへ所得の一部を移すことが
簡単にできてしまうのです。
こういう質問を受けることがあります。
「税務署から、建物の贈与を受けた子どもが、
借地権の贈与も受けたと言われ、
多額の贈与税を払うことになりませんか?」
税務上の取扱いは、次のようになっています。
親族間であれば、
建物の贈与を受けた側は、土地をタダで借りているのであれば、
借地権の贈与を受けたことにはなりません。
「借地権」の認定課税がおこなわれるのは、
○ 個人と会社間
○ 会社と会社間
と会社がからんだ場合になります。
注意点がいくつかあります。
○ 建物の贈与登記を行うこと → 登録免許税と登記費用の負担あり
○ 不動産取得税もかかること
○ 親の相続が間近な場合はおこなわないこと
詳しい説明は省きますが、
建物の贈与をおこなうことにより、
相続税での評価減が取れなくなることがあります。
よって、すぐに親の相続が発生すると、
メリットよりデメリットが大きくなることがあるのです。
これはご注意ください。
さらに、節税を追求するために、
もらった子どもは以下をおこなうと良いでしょう。
○ 青色申告の届出書を税務署に提出する
○ 10室以上になるように贈与する
○ 奥さんに専従者給与を支給する
「青色申告の届出書」を税務署に提出すると、
これだけで最低10万円の控除が取れます。
さらに、10室以上の建物を贈与すれば、
控除額が65万円と、6倍以上に多くなります。
1棟のアパートで10室以上でなくても、
2棟、3棟で合わせて10室以上でもかまいません。
10室以上貸していれば、税務署に届出書を提出して、
奥さんに専従者給与を支給することができます。
さらに、所得が分散されて節税になります。
奥さんがパートなどで働いていないことが条件です。
このように、手軽で大きな節税が取れる対策ですが、
意外に活用されていません。
よろしければ、ご活用くださいね。
【編集後記】
7月初めに今年の路線価が発表されました。
事務所のスタッフが、「ニュースレター8月号」にまとめました。
路線価の下落の傾向、相続税への影響などが内容です。
よろしければ、ご参考にしてください。
http://www.ochiaikaikei.com/info/?p=39
—————————————————————————————————————————————-
落合会計事務所
税理士 落合 孝裕
所在:東京都世田谷区用賀2-14-11ブリュンヒルデ4階
電話:03-5716-6528
○顧問契約、単発の相談のお問い合わせは
http://www.ochiaikaikei.com/
—————————————————————————————————————————————-
「税理士が教えるとっておきの税金情報」
発行者:落合会計事務所