貸倒損失のポイント(2011年3月29日)
2011年3月29日
2011年3月29日
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○○さん、こんにちは。
税理士の落合孝裕です。
いつもメルマガをお読みいただき、ありがとうございます。
3月下旬ですが、なかなか暖かくなりませんね。
被災地の方々はもちろん、計画停電で影響を受けている会社もあります。
それ以外の地域の人たちは、極端な買い占めはいかがかなと思います。
助け合えることは、皆で助け合い進めていきましょう。
今回のテーマは、一般の税務のお話になります。
「回収がむずかしい債権」の取扱いです。
売掛金について、何度請求しても入金がないことがあります。
たとえば、1年前の30万円の商品代金が、
いまだに入金にならないことなどです。
商売をしていくとどうしても出てきますが、本当に困りますね。
相手の資産状況をみて、どうやっても回収できない場合、
「貸倒損失」として、損失にすることになります。
30万円が貸倒損失となれば、その分会社の経費が増えます。
税金が、約12万円(30万円×約40%)少なくなります。
「貸倒損失」の条件は、税法ではかなり厳しく定められています。
税務調査が入ると、必ず「貸倒損失」は細かくチェックされます。
条件に少しでも合っていないと、
「この処理は、条件にあってないので認められません」と、
修正申告の提出を求められることになってしまいます。
よくありがちなケースを、いくつか紹介します。
1つ目は、継続的な取引先の売掛金が回収できないケースです。
何回か売り上げて、最初のころは入金があったものの、
その後で入金がなくなったような場合です。
これは、取引停止してから【1年以上】経過したときに、
初めて「貸倒損失」として経費にすることができます。
この1年以上は、税務調査が入ると厳格にチェックされます。
10ヵ月とか11ヵ月ではダメとなります。
よくチェックしたうえで、「貸倒損失」として処理するようにしましょう。
2つ目は、遠隔地の売掛金のケースです。
たとえば東京の会社が、北海道の会社に商品を売り上げたとします。
その売掛金が回収できないような場合です。
売掛金が3万円で、回収に行く交通費が5万円かかるようなら、
その売掛金を「貸倒損失」として処理することができます。
この2つは、経理処理は「1円を残して」経費に落とすことができます。
たとえば、3万円の売掛金であれば、
29,999円が「貸倒損失」となります。
将来に回収できた場合は、回収額が収益となります。
1円を残すことにより、その売上先の名前が帳簿に残り、
後からわかるようになります。
そして3つ目は、書面によりこちらから債権を放棄するケースです。
普通郵便では、出した出さないかの証拠が後でわかりません。
はっきりと証拠に残すため、「内容証明郵便」で出すことが必要です。
相手が夜逃げなどしてその住所にいないこともあります。
その場合は、こちらに戻ってきた書類を残しておきます。
この処理は、相手先がかなり厳しい経営状況であることが前提です。
「債務超過の状態」が「相当期間継続」することが条件となります。
ここで問題になるのが、「相当期間」ということです。
税務の本を見ると、3年~5年程度とあります。
そもそも相手の会社が「債務超過」かどうかは
決算書を見ないとわかりません。
ただし、相手が夜逃げしてその住所にいないような場合は、
すでに「相当期間」は「債務超過」だったと推定もできるでしょう。
うちの事務所では、状況を見てですが、
3年~5年にはこだわらずに、
債権放棄の「内容証明郵便」をお客様に勧めることが多いです。
これで、これまでに税務調査でもめたことはありません。
「貸倒損失」として経費に落とせるのは、
その「内容証明郵便」を出した日になります。
4月以降の決算期の会社であれば、まだ時間はありますが、
3月決算の会社であれば、3月31日までとなります。
実際に、数千万円の売掛金を経費に落としたこともあります。
回収ができない売掛金があれば、ぜひご一考ください。
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落合会計事務所
税理士 落合 孝裕
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